オリジナル商品 『NCKクリアブーストセラム』 について
ミルディス皮フ科オリジナル化粧品
NCKクリアブーストセラム について
*フラーレン1%GOVC1%+EPCローション(ミルディス皮フ科オリジナルローション)は
FPローションという名称で登録
両親媒性ビタミンCであるGO-VCを配合した新しい当院オリジナルの化粧品の販売が2025年10月より開始されます。第一号はフラーレンとGO-VC、現在販売中の第二号ではさらに油性抗酸化剤として定番であるビタミンEを追加して抗酸化作用を強化したものに改良されています。販売サイト:https://mildix-biyo.com/cosme/1846/
今回はさらにバージョンアップした美容液として、「NCKクリアブーストセラム」を販売することとなりましたのでご紹介したいと思います。
「グリコール酸1%、GO-VC3%、ナイアシンアミド4%、コウジ酸1%を配合し、+αとして、セラミド、ヨクイニン、アラントインを配合した攻めの欲張り導入美容液」
を目指しました。
レチノール系化粧品やトレチノインとの併用での効果増強、単独でのニキビなど肌荒れの予防
以前にも当ブログ内にて、「GO-VC(両親媒性ビタミンC)の魅力」(https://mildix-biyo.com/blog/5685/
)と題してGO-VCの特徴をお伝えしました。
簡単におさらいをしましょう。
GO-VCは、アスコルビン酸(ビタミンC)にグリセリン(保湿成分)と脂肪族アルコールのオクタモール(抗菌成分)を結合させた両親媒性プロビタミンC(皮膚の中でビタミンCに変換される)です。
両親媒性とはご存じの通り、水溶性と脂溶性の両方の性質を併せ持っていることであり、皮膚の角層や細胞膜を通り抜けて細胞内で作用するためにはある程度脂溶性であることが重要です。水溶性成分は浸透性は低いが吸収性や速効性に優れており、どちらかというとより表層での作用となります。
またビタミンCは非常に不定で、紫外線などにより濃度低下や活性酸素などにまで変換されてしまうことも知られており、成分の安定性は非常に重要な要素です。その点でもGO-VCは優れていることなどを紹介しました。
まとめると、前回のブログではGO-VCの特徴として
・両親媒性
・高い安定性
・保湿効果
・抗菌活性
・線維芽細胞、コラーゲンの増加
・メラニン産生抑制
・赤味、ニキビの改善
についてお伝えしました。
今回の「NCKクリアブーストセラム」での大きな変更点は下記となります。
・グリコール酸1%:新規追加
・GO-VC3%:増量
・ナイアシンアミド4%:新規追加
・コウジ酸1%:新規追加
・セラミド、ヨクイニン(ハトムギ種子エキス)、アラントイン添加:新規追加
(1%以下の成分表記)
————————————————————
乳酸
フィチン酸
コウジ酸
カプリリル2グリセリルアスコルビン酸
ヒアルロン酸Na
セラミドNG
セラミドAP
セラミドAG
セラミドNP
セラミドEOP
ハトムギ種子エキス
アラントイン
パルミトイルトリペプチド5
クエン酸Na
水酸化Na
ポリグルタミン酸
フィトステロールズ
キサンタンガム
ベルガモット果皮油
P E G60水添ヒマシ油
ポリオクタニウム51
BG
フェノキシエタノール
水添レシチン
——————————————————————————————
グリコール酸や乳酸などAHA:新規追加
ピーリング剤であるグリコール酸、乳酸などAHAを追加したのは加齢に伴うターンオーバーの遅延から角層が厚くなって「くすみ」などの原因になってしまうことの改善、さらには角層を薄くしてニキビなどへの効果を増強、美容成分の肌への浸透性を少しでも高める、などを考慮して配合しました。
敏感肌の方などでは刺激性の問題も生じうるので配合すべきか悩みましたが、効果重視で配合を決定しましたが、その配合濃度やpHの調整には配慮して極力刺激性を和らげるようにしています。
AHAの化粧品への主たる配合目的としては、
・コルネオデスモソーム分解促進による角質剥離作用
・収れん作用
・酸性によるpH調整
・アルカリ剤との併用による緩衝
などが知られています。
(化粧品成分オンライン)
α-ヒドロキシ酸(AHA)の基本情報・配合目的・安全性
https://cosmetic-ingredients.org/exfoliant/alpha-hydroxy-acids/
GO-VC:3%へ増量
両親媒性ビタミンCであるGO-VCのメラニン産生抑制や抗菌作用をはじめとする各種効果が増量することによって高まることが知られています。
GO-VCの化粧品への主たる配合目的としては、
・メラニン産生抑制・メラノソームの輸送阻害による美白作用
・アクネ菌増殖抑制による抗菌作用
・コラーゲン合成促進による抗シワ作用
などが知られています。

草津温泉の湯畑源泉では10秒でコロナウイルスが90%以上不活化することが知られていますが、GO-VCでも高濃度化でコロナウイルスの不活化作用が生じます。恐らくは草津温泉がPH値が1.6~2.1という、極めて酸性の高い泉質であることが高速殺菌に作用しているのではないでしょうか?

当院で期待している抗菌作用はコロナウイルスではなく、アクネ菌です。
従来の1%(カプリリル-2グリセリルアスコルビン酸としては0.1%)でも十分な抗菌効果を有することが知られています。
(付記)
GO-VCの化粧品表示名称は「カプリリル-2グリセリルアスコルビン酸」となります。
原料は、「GO-VC10W」という10%水溶液です。
その10%水溶液を3%配合しており、カプリリル-2グリセリルアスコルビン酸としては0.3%となります。

(化粧品成分オンライン)
カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸の基本情報・配合目的・安全性
https://cosmetic-ingredients.org/skin-lightening-agents/26912/
ナイアシンアミド“4%”:新規追加
ナイアシンアミドも最近では有名な美容成分の一つとなりました。
刺激も少なく、マイルドに種々の美容効果が期待できるので好まれる成分ですよね。
当院でもレチノール配合「アスタキサンチンゲルクリーム」の改良に際して、下記のような美容効果に加えてレチノール系の刺激を緩和してくれるため0.5%ナイアシンアミドを追加しました。併用の際にはレチノール系化粧品の使用前にお使いください。
・アスタキサンチンクリームのリニューアル:https://mildix-biyo.com/news/6553/
・ブログ「アスタキサンチンの魅力」:https://mildix-biyo.com/blog/6701/
・販売サイト「アスタキサンチンゲルクリーム」:https://mildix-biyo.com/cosme/1775/
今回はさらなる効果アップのため4%配合としています。
・シワの改善・予防: ナイアシンアミドは真皮のコラーゲン生成を促すことで、シワを改善する効果が期待できます。
・シミ・そばかすの予防: メラニンが肌表面に運ばれるのを抑える(移送阻害)ことで、シミやそばかすを予防する美白効果があります。
・肌荒れ・ニキビの予防: 抗炎症作用と皮膚のバリア機能を修復する作用で、ニキビなどの肌荒れを防ぎます。
・皮脂分泌の抑制: 過剰な皮脂の分泌をコントロールする効果が期待できます。
・保湿効果: セラミドの生成を促す作用があり、肌の水分量を高めて保湿効果を高めてくれます。
(化粧品成分オンライン)
ナイアシンアミドの基本情報・配合目的・安全性
https://cosmetic-ingredients.org/skin-barrier-repairing-agents/1710/
コウジ酸1%:新規追加
コウジ酸を今回追加配合した背景は美白作用と「黄ぐすみ」対策の強化です。
実際に多くの中高年の方のお肌を見せていただくと、実に多くの方に肝斑や日光性色素斑以外の“くすみ”が特に紫外線を多く浴びてきたであろう方に広範囲に認めます。特に前額や頬骨付近が顕著です。
近年ではこの「黄ぐすみ」のメカニズムが徐々に解明されてきています。
当院でも「黄ぐすみ」対策と刺激の少ない美白作用を有する化粧品としてコウジ酸クリームを取り扱っています。院内製剤として細々とですが実は人気の化粧品でもあります。
従来は糖化(糖とたんぱく質の結合)によるAGEs(終末糖化産物)の産生沈着に焦点が当てられていたように思いますが、関係するAGEsの種類も多岐にわたることや、肌の深部にある真皮の成分が過酸化物質などによって変性(カルボニル化)し黄色に変色することなども原因となっていることが知られるようになってきました。
脂質のカルボニル化とは、酸化した脂質がタンパク質と結びつき、変性する現象です。これは、紫外線などの影響で活性酸素が皮脂を酸化させることから始まり、カルボニル化によって生成された黄褐色の物質(ALEs)が真皮層などに蓄積すると、肌の黄ぐすみが生じるとされています。
だから顔面でも前額や頬骨付近の紫外線がよくあたる部位に顕著に出現します。
この意味でも皮脂の適切な除去と紫外線対策と肌の抗酸化が大切なのだと思います。
肌の抗酸化対策としては、ビタミンCやE、ポリフェノールなどの抗酸化成分を含む食品やサプリメントの摂取やビタミンCや水素点滴などで体の内側からのアプローチに加えて、スキンケアとしての抗酸化剤の外用(代表的な成分として、ビタミンC誘導体、フラーレン、アスタキサンチン、ビタミンEなど)が考えられます。
コウジ酸とビタミンCの併用は、メラニン生成抑制と還元作用の相乗効果により、シミや黄ぐすみの改善に効果が期待できます。コウジ酸はメラニン生成の抑制、ビタミンCはメラニンの還元や抗酸化作用を持つため、異なるメカニズムで美白を促してくれます。
(コウジ酸とビタミンCを併用するメリット)
多角的な美白効果:
コウジ酸がメラニンの生成を抑制し、ビタミンCが生成されたメラニンを還元する役割を持つため、より効果的な美白効果が期待できます。
黄ぐすみへの効果:
コウジ酸には抗糖化作用もあり、糖化による黄ぐすみへの効果も期待できます。
(コウジ酸と黄ぐすみの関係)
黄ぐすみの原因「糖化」とは:
体内でタンパク質と糖が結びつくことで、AGEs(終末糖化産物)という黄褐色色の物質が作られます。このAGEsが肌に蓄積すると、肌色が黄色くにごって黄ぐすみが生じます。
コウジ酸の抗糖化作用:
コウジ酸は、この糖化反応の過程で生成されるAGEsの産生を抑制する働きを持っているので、肌の黄ぐすみを抑え、透明感を向上させる効果が期待できます。
(三省製薬株式会社「美容成分ラボ」)
シミに対する美白効果だけではなく黄ぐすみケアも行える『コウジ酸』 vol.3
https://www.sansho-pharma.com/lab/100
臨床試験で確かな結果が続々!日光黒子や肝斑、そばかす、炎症後の色素沈着にも『コウジ酸』 vol.4
https://www.sansho-pharma.com/lab/101
資生堂、肌の「黄ぐすみ」の新メカニズムを解明
https://corp.shiseido.com/jp/releimg/1808-j.pdf
肌の黄みに角層蛍光性AGEsが関連することを確認
植物エキス混合物により角層蛍光性AGEs形成を抑制
https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2024/20240531-001/
(化粧品成分オンライン)
コウジ酸の基本情報・配合目的・安全性
https://cosmetic-ingredients.org/skin-lightening-agents/6793/
セラミド、ヨクイニン(ハトムギ種子エキス)、アラントイン添加:新規追加
セラミド配合目的は皆さんよくご存じのように、肌のバリア機能修復作用ですし、それに伴うAHA配合による刺激性緩和の意味もあります。
ヨクイニン(ハトムギ種子エキス)の作用として、
・角層水分量増加およびフィラグリン産生促進による保湿作用
・ヒスタミン遊離抑制による抗アレルギー作用
・表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用
が知られていますが、主たる配合目的は保湿作用とマイルドなターンオーバー促進作用です。もちろん保湿によるAHA配合による刺激性緩和の意味もあります。
アラントインの作用として、
・刺激緩和作用
・表皮角化細胞増殖促進による細胞賦活作用
が知られていますが、主たる配合目的は一次刺激性やアレルギー性を緩和することです。
敏感肌用化粧品などに配合されていることも多いのでご存じの方もおられるでしょう。
またアラントインは、表皮細胞の増殖を促進し患部の治りを促す組織修復成分として湿疹・皮膚炎、
ひび、あかぎれ、やけどなどの外用治療薬にも用いられていますし、化粧品においても表皮細胞の増殖を促進し、肌荒れの防止や唇のひびなどを修復する目的でスキンケア製品、ハンドケア製品、リップケア製品などに多用されています。
(化粧品成分オンライン)
セラミドの解説と化粧品配合セラミド一覧
https://cosmetic-ingredients.org/skin-barrier-repairing-agents/ceramides/
ハトムギ種子エキスの基本情報・配合目的・安全性
https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/8661/
アラントインの基本情報・配合目的・安全性
https://cosmetic-ingredients.org/irritation-reducing-agents/71/

監修者
医療法人社団精華会ミルディス皮フ科
理事長 村上 義之
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 医学博士
