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院長ブログ

アトピー性皮膚炎に対する注射剤デュピルマブ(デュピクセント®)について

2021年07月27日



2018年4月よりアトピー性皮膚炎治療薬としては初の生物学的製剤であるデュピルマブ(デュピクセント®)皮下注射が使用開始となり、2019年5月より在宅での自己注射が可能になりました。
当院でもすでに2021年6月現在で北千住院ならびに横浜院にて約60名の方にお試しいただき、その優れた効果をご実感いただけているようです。

アトピー性皮膚炎は、フィラグリン遺伝子変異などに伴う角層の異常や皮膚のバリア機能障害という皮膚構造異常に加えて、免疫・アレルギー学的機序に伴うアトピー素因や瘙痒による掻破などが関与する多因子性の疾患です。
もちろん、これらに生活環境(ダニ、ホコリ、汗など)やストレスなどが悪化因子となっているのは周知のことです。

免疫・アレルギー学的異常としては、アレルギー反応に関わるTh2細胞による炎症反応が深く関係しており、Th2細胞から産生されるIL-4やIL-13などのサイトカインは、皮膚の炎症や皮膚バリア機能、痒みに強く関与することが知られています。
これらのサイトカインを抑制するのが、デュピルマブ(デュピクセント®)です。

デュピクセント®の適応基準・投与方法・臨床効果

適応:15歳以上の成人における、既存治療で効果不十分な方
(基本はストロングクラス以上のステロイド外用薬、もしくはタクロリムス外用薬を6か月以上使用しても効果が不十分な方が対象となります。さらに医師が下記にて適応の有無を判断します。)

IGA スコア 3 以上
EASI スコア 16 以上又は顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する場合 (目安として頭頸部の EASI スコアが 2.4 以上)
・体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合 10%以上


投与方法:初回2本(計600㎎)を皮下注射し、その後2週間間隔で1本(300㎎)を皮下注射します。

腹部(へその周り5cmは避ける)、大腿部、上腕部(二の腕)の皮下に注射します。
※自己注射に適した部位は、へそ周り以外の腹部または太ももです。


臨床効果:投与後16週のEASI 75(皮疹の重症度や皮疹の面積などをスコア化したEASIスコアが、投与開始時から75%以上改善した患者の割合)達成率が68.9%、EASI 90の達成率が39.6%と高い効果を示しています。

言い換ええますと、16週後には皮疹が注射前の1/4以下にまで改善する方が約7割弱、さらに注射前の10%以下にまで改善する方が4割弱もおられるという非常に優れた効果が示されています。

最初に感じて頂ける自覚症状の改善は痒みの低下だろうと思います。
2回目の注射時にはかなりの方が痒みの軽減を自覚されますし、早い方は数日後から痒みが減ったとおっしゃいます。
下図のように、そう痒NRSスコア変化率は投与開始後2週時には既に有意な低下を示し、16週時には-56.6%でした。
中には、ようやくゆっくりと眠れるようになりましたと言われる患者さんもおられます。

※そう痒NRS(Numerical Rating Scale:数値評価スケール)スコア
そう痒NRSは痒みの重症度を評価するために設計された患者報告アウトカムで、患者さんは以下の質問に回答します。
「過去24時間で最もひどかったときの痒みの重症度を、0~10の間の数値(「0=全く痒みがない状態」、「10=想像できる範囲で最もひどい痒み」)でお答えください」


皮膚症状の重症度と相関する血清TARC値、LDH値、非特異的IgE値なども投与後から速やかに低下します。


投与を継続することで、よい状態の維持が期待できますし、従来非常に難治であった苔癬化局面も時間はかかりますが、徐々に軟化してきます。強いて言えば、躯幹四肢の皮疹に比べるとなぜか重症化して年月を経た顔面などの皮疹の改善が多少弱いようです。

副作用として原因不明の結膜炎の報告がありますが、眼科にて点眼薬や軟膏等の処置や処方で改善します。

デュピルマブ(デュピクセント®)は、既存の治療薬と比較して上述のように非常に効果の高い薬剤ですし、懸念される副作用も少ないため、これまで様々な治療を行ってきたにも関わらず症状が安定しない方や、重症度の高い方、新しい治療薬に興味のある方は、お気軽にご相談ください。

参考
デュピルマブ(デュピクセント®)メーカーHP:SANOFI
https://www.dupixent.jp/disclaimer



注意点
・投与に際しては日本皮膚科学会のガイドラインに準拠した、事前に標準治療を受けていることが必須です(厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに記載されています)。
https://www.pmda.go.jp/files/000237674.pdf
・15歳からは使用可能ですが、未成年の方は保護者と一緒に来院ください。
・喘息への適応もありますが、治療薬を自己判断で中止することなく、注射剤導入時には事前に内科主治医にもご相談いただきたいと思います。
・皮疹に対しては注射中であってもステロイド外用剤、プロトピック軟膏、保湿剤など適宜外用治療は併用してください。
・転居などに際して当院でデュピクセントの継続を希望される方は、お手数ですが前医から治療継続に必要な『投与開始時の、前治療要件と疾患活動性の数値』が書かれた診療情報提供書(紹介状)を記入してもらって下さい。申し訳ございませんが、これなしでは当院での継続治療はお受けできません。
・自己注射への移行は、当院導入の方に関しましては当院で最低2回は注射ならびに注射指導を行ってからになります。


【料金について】

費用は、2週ごとの注射代 (1本約6万6千円) は3割負担の方で1回約2万円、初回のみ2倍の量を投与するため約4万円かかります。
ご加入の健康保険によっては、付加給付制度により月の自己負担額が2万円程度で済む場合もあるようですので、会社ならびに健康保険組合(保険者)などに先ずはご相談ください。
さらに、大学や自治体によっては独自に医療費助成を行っている場合がありますので、制度の有無、助成内容、申請手続きなどは大学の学生課やお住まいの自治体にご確認ください。

また、注射代以外の診察料や外用剤などの処方量などは通常どおり別途必要です。
当院では現金のみのお支払いになります(2021年6月現在)。

*付加給付制度とは

企業の健康保険組合や共済組合などの独自の制度です。
「1か月間にかかった医療費の自己負担の上限を決めておき、限度額を超過した費用を払い戻す制度」です。
ただし、すべての組合で実施されているわけではありませんので、詳しくは保険者などにご確認ください。

1年間で支払った医療費の総額が10万円(総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%)を超えると、確定申告によって医療費の控除が受けられます。
医療費控除を受けることによって、所得状況に応じた還付金を受け取ることができます・確定申告には当院発行の領収書が必要です(再交付できませんので無くさないよう保管ください)。

詳しくは、最寄りの税務署にお尋ねください。

自己注射を導入することでなぜ治療費負担が軽減されるのか?
それには、我が国の高額療養費制度が関係しています。
従来の通院治療の場合、デュピクセント治療を受けている方の自己負担は、標準的な3割負担の場合、維持期であれば一月(一月2回の注射)あたりおよそ4万円弱ですから、年間にすると50万円ほどになり、決して安価ではないどころか、かなりの高額でした。

それが、自己注射の場合、3ヶ月分(6本)をまとめて処方しますので、年収によっても異なりますが、例えば年収約370万~770万円の方の場合では高額療養費制度が適用になり、毎回の負担が8万円強になります。

つまり、3ヶ月で12万円ほどかかっていたのが、8万円強まで負担が軽減されるわけです。
また、4回目からは44,400円にさらに軽減されます。

2年目からは年間177,600円の負担になりますので、通院の場合の金額(約50万円)からすれば、4分の1にまで負担が軽減されることになります。
これでもまだ高額ではありますが、1日あたりに換算すると500円弱の負担となりますので、そう考えるとそこまでの高額ではないようにも思えますが、いかがでしょうか?

また、高額療養費制度を利用される場合は事前に「限度額適用認定証」を取得されますと窓口での負担が軽減されます。その場合、健康保険証に記載されている保険者に連絡し、「高額療養費制度を利用したい」ことを伝えて交付を受ける手続きをしましょう。

なお、当院にてご相談時には下記の「知っておきたい医療費の助成制度について」監修 五十嵐敦之 サノフィ株式会社発行の小冊子などもお渡ししています。

デュピクセントの治療費

◆デュピクセント投与に当たる治療費は高額になります。
・3割負担の方の負担金 (※下記の金額は目安となり金額が多少前後する事がございます)
初月のみ(月に3本注射)月当たりの負担される金額¥59,721
それ以降(月に2本注射)月当たりの負担される金額¥39,814

※別途、初再診料、処方箋料などがかかります。
年収により高額医療制度の対象になることがあります。

高額医療制度の対象になる可能性があるのは、【①年収が370万円未満の方 ②住民性非課税者】の方となります。
自己注射を行っていただくと、【年収が370万円~770万円の方】も高額医療制度の対象になることがあります。

デュピクセントの自己注射について

平成31年6月から自己注射が認められました。
最大6バイアル(約3ヶ月分)まで処方が可能となります。

但し、自己注射を行う為には、院内で最低2回の指導を受けていただかなければなりません。
処方日には指導料として下記の負担金が発生致します。

・3割負担の方 在宅自己注射指導管理料(1以外の場合)(月27回以下)¥1,950、  導入初期加算(在宅自己注射指導管理料)¥1,740

現在、操作が簡便で針を見ずに投与できる、ペン型での自己注射も行っています。
興味のある方はスタッフまでお尋ねください。

自己注射が不安という方は、2週間ごとに院内で注射を行うことも可能です。

ペン型

シリンジ型

自己注射の方法

自己注射の方法 ペンの場合

https://www.support-allergy.com/selfinjection/method/autoinjector


参考
・「知っておきたい医療費の助成制度について」監修 五十嵐敦之 サノフィ株式会社発行

・「デュピクセントをお使いの患者さんへ」

 デュピクセントで治療を受ける患者さんは高額療養費制度等の医療費助成制度の適用となる場合があります。

https://www.support-allergy.com/

・自己注射について

https://www.support-allergy.com/selfinjection/injection

*画像は全てメーカーHPより転載しました。

NEW! 2021.7追記

デュピクセント相談室が開設されました。

操作方法と医療費制度についてお問い合わせ下さい。

医療法人社団 精華会
ミルディス皮フ科 村上 義之