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院長ブログ

新型コロナウイルス感染症とは関係なく、ビタミンDの補充を考えましょう!

2021年09月27日

足立区、日本全国でもワクチン接種は進んできている
ものの未だコロナ収束は見通せず、ワクチンを
打てない小さな子供を守るためにも
「ワクチン接種率95%以上を目指して集団免疫を!」
「3回目の接種は必要か?」
などの議論も続いています。

ワクチンも感染を防ぐためのものではなく、ウイルス
感染罹患時の重症化を抑えるためのものだということは
広く認知されてきているかと思います。

主たる感染経路である飛沫感染を抑えるべくマスクは
必須だし、マスクをはずす会食を出来るだけ避けるの
も大切なことでしょう。

それに加えて、コロナに負けない身体を作るためにも
栄養素について考えるのも必要だと思うのです。
人の身体は栄養で作られています。

身体を構成する細胞も人が食べた食物が消化吸収された
栄養素(主にタンパク質や脂質)でできていますから、
これらが不足するとさまざまな不調が出るのは明らかですし、
細胞内のミトコンドリアでエネルギーを作り出すためには、
各種のビタミンやミネラルが必要になります。

すなわちこれら栄養素が足りないとエネルギー不足となり、
元気がなくなってしまい、ひいては感染にも屈しやすい、
重症化しやすくなってしまいます。

そういう私自身、自分の体調不良もあり分子栄養学を
学び始めて改めて栄養素の大切さ感じたため、自身の
治療を続けながら、栄養素の大切さを何とか当院を
受診する患者様にもお伝えできないかと苦悶している
最中です。

上のスライドは、FLCCの新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)の予防および早期の外来患者治療に関する
プロトコル 第11版の抜粋です。


注目して頂きたいのは、ビタミンDです。

ビタミンDというと多くの方が骨のビタミン(Caの吸収)
というイメージを持っておられますが、近年はインフル
エンザなどの感染予防、花粉症などに対する抗アレルギー
作用、各種のガンの予防効果など様々な効果が
知られてきています。

是非とも下記参考文献5)の宮川路子先生の
「ビタミンDの健康効果」を一読下さい。

当院を受診して下さった方々にも比較的読みやすいので
お勧めしています。

以前から日本のみならず先進国でのビタミンD不足
指摘されていました。
紫外線にあたらなくなった、のも要因として挙げら
れています。

皆さんご存じのように皮膚に紫外線が当たることに
よってビタミンDが人の身体でも作られています。
皮膚科の立場では紫外線に当たることによるマイナス
面が少なからずあります。

美容皮膚科でお悩み相談に多い、「シミ」、「シワ」
といった皮膚の光老化と言われる症状の一番の原因が
紫外線ですし、紫外線で皮膚癌が誘発されること
(日光角化症など)も知られています。

一方で尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患
の治療にも紫外線を利用もします。
要はバランスが大切だということなのですが、最近は
私を含めて多くの日本人が紫外線を避ける方に比重が
かかってしまっています。

私は男ではありますが、商売柄もありシミやシワには
出来ることならばご遠慮頂きたいと思っていますし、
多くの方々が「シミが気になる」といって当院へも
お見えになります。

そうすると、必然的に我々医療者は生活指導として
「紫外線を避けましょう!」とお伝えしているのです。

そう、我々皮膚科医がビタミンD欠乏に拍車をかけて
しまっている側面もあるのです。

少なくとも私は今まで「紫外線を避ける」指導の際に、
あわせてビタミンDの補充をお伝えすることは出来て
いませんでした。
だからこそ、名今後はビタミンDの必要性を啓蒙し、
サプリメントなどでの補充を促して行くように
し始めたところです。

「新型栄養失調」という言葉もあるように、三大栄養素は
充足していても、補酵素となる各種ビタミンやミネラルが
不足しての体調不良が出ている方が少なくありません。

コンビニ弁当や糖質まみれの食事ばかりでは栄養をしっかり
と賄うことはできません。
かくいう私自身がそうでした。いわゆる副腎疲労で甲状腺機能
低下を来たした状態でした。

足りない栄養素を補給、今まで陰性だったピロリが陽性
となり除菌治療、仕事を調整してストレス軽減、睡眠を整える、
食事の改善などから今では大分回復してきています。


さて、話しを戻しましょう。

参考文献4)にもあるように、
「コロナウイルスに血中ビタミンD濃度が30ng/ml以上の方は
ほとんど感染せず、さらに重症化しない」などコロナにビタミンD
が有用である報告が多数なされています。

その一方で、以前から日本人のビタミンD欠乏が指摘され、
血中濃度が20ng/ml程度まで下がっているという指摘はされていました。
ところが、ここ最近当院(北千住院)でビタミンD血中濃度を
測定した20人強の内で20ng/mlを超えていた方はわずか3名で、
多くは15ng/mlあたりで中には10ng/mlを下回っていた方も数名
おられました。
至適量と言われている40~60ng/mlに達していた方は1名も
いませんでした

ビタミンD欠乏がさらに進んでいるのか?とも考えましたが、
美容皮膚科に来院されるシミなどを気にする方々を中心に
行った採血なので偏りがあるのだろうと思われます。

上のスライドの「FLCCの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
の予防および早期の外来患者治療に関するプロトコル 第11版」
の予防の項で推奨されているビタミンDを1,000~3,000IUの
摂取が記載されています。

では果たして自分はどれくらいのビタミンDを飲めば
良いのでしょうか?


分子栄養学で最初に学ぶのは、下記の3つです。

1)ドーズレスポンス(栄養素の最低必要量と最適量は異なる)
2)個体差(検査をして個々の生化学的要素を見つけて対処)
3)根本原因にアプローチ

(一般的な解釈にとどまらずに何故?を考える)

1)のドーズレスポンス(最低必要量と最適量は異なる)
という考え方は非常に大切だと思います。

良く知られているのはビタミンCについて。
最低必要量を下回ると、トーマス・スティーブンズの
航海記にも出てくる壊血病が生じます。

一方で風邪にもビタミンC(1~10g)、ガンの補助療法高濃度
ビタミンC点滴(100g)という話しも耳にしたことがあるので
はないでしょうか?

摂取量(正しくは血中濃度)によって異なる作用が得られる、
言い換えれば「目的によって摂取量・使用量が異なる」ということです。
怪我を治りやすくする100mgのビタミンCをずっと摂取していても、
ガン治療はおろか、風邪の予防治療にも不十分だということです。


ビタミンCについては後日改めてお伝えします。

ビタミンDにおいては、20ng/mlで予防できるのは
「くる病」くらいです。

参考文献5)の「ビタミンDの健康効果:宮川路子」で
紹介されているような感染予防を含めた様々な効果を
期待するためにはビタミンDの血中濃度が40~60mg/ml
必要なことがわかっています。

それから考えると当院で測定した方々は大半が至適量の
半分以下という結果です。


次に考えるのが
2)の個体差(検査をして個々の生化学的要素を見つけて対処)
についてです。

要は根拠となるものを探し、それに基づいて対処しろ
という意味です。

ここで言うと、血中濃度を測定するということです。

すなわち、どれくらいの量を飲むかよりも、どれくらいの
血中濃度になっているかの方が大切だということ。

先ず、自身のビタミンD血中濃度を測定しましょう。

あわせてビタミンDサプリメントを内服開始しましょう。

そして2~3ヶ月後あたりで評価のための採血をして
血中濃度を確認し、必要に応じてサプリメントの摂取量
の調節をするのです。

私自身はビタミンDを1日5,000IUを継続して摂取して
います(花粉症などの時期には増量)。

家人も子供も摂取していますし、私の親兄弟にも
勧めています。

先にもお話したように私自身は副腎疲労にもなって
いたこともあり、ビタミンCも1日最低3,000mg摂取
していますし
(風邪気味だと感じたら1日10gあたりまで増量)、
潜在性亜鉛欠乏症も発覚したため亜鉛も継続して
補充中。

さらにはマグネシウムも欠乏していると思われ、
サプリや塩(「ねちまーす」を愛用)で補充。

ビタミン類全般の底上げの意味でマルチビタミン
継続して摂取しています。

ビタミンC自体の白血球の走化性などを高める作用、
抗酸化作用などに加えて、ナチュラルなビタミンDが
体内で活性化されるにもビタミンCが必要です。

食事からのマグネシウムとビタミンDの相互作用が、
コロナ死亡リスクに影響を及ぼす可能性を指摘した
論文もあります。

コロナ禍での不安な日々はまだまだ続きますが、
皆さんが元気で日常生活を送られることを心より
願っています。

まとめると…
現代の日本人の多くの方はビタミンD欠乏です。
だからこそ、コロナ云々とは関係なく、血中濃度を
測定して、不足は補いましょう!

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①自身のビタミンD血中濃度を採血にて測定
因みに当院でも採血可能です。
自費ではありますが、当院で自費治療をお受けの方には
¥2,200で案内しています。 

サプリメント内服前、そして2~3ヶ月後に再評価。  
以後年に1~2回。

②ビタミンDサプリメントでの補充
出来るだけ良質なものを選びましょう。
因みに当院では1日5,000IUからの摂取をお勧めしています。

当院でも窓口で販売していますし、必要な方にはネットで
注文できる医療機関専売サプリメント会社の製品を
お伝えしています。

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参考文献

1)ビタミンD、C、E、亜鉛、セレン、ω3脂肪酸は
コロナのリスクを下げ得るか?【スポーツ栄養Web】

2)コロナに対する栄養とサプリメントの役割を
文献レビューから考える【スポーツ栄養Web】

3)ビタミンDの摂取はコロナの発症や重症化を防ぐのか?
忽那賢志(感染症専門医)

4)緊急速報 ビタミンDでコロナ感染予防を

5)ビタミンDの健康効果:宮川路子

ミルディス皮フ科 村上 義之