ULTRACOL(ウルトラコル):世界発PDOコラーゲンブースター製剤について
ULTRACOL(ウルトラコル)
:世界発PDOコラーゲンブースター製剤について


- Ultracol 200とは?(特徴について)
Ultracol 200は、**PDO(Polydioxanone:ポリジオキサノン)**を主成分とする世界初のマイクロフィア(微粒子)型のコラーゲンブースター製剤です。
| 特徴 | 詳細 |
| 主成分 | PDO(ポリジオキサノン)微粒子 170mg、CMC(カルボキシメチルセルロース)30mg |
| PDOとは | 外科手術用の生体吸収性縫合糸として長年使用されている、安全性の高い生分解性ポリマー。体内で水と二酸化炭素に分解されます。 |
| 製剤技術 | 独自の技術で、PDOモノスレッド(糸)約1,400本分を微細な球体(マイクロフィア)に加工して配合。これにより、皮膚内でコラーゲンを効率よく誘導するための表面積が大幅に増加します。 |
| 安全性 | BDDEなどのリスクのある架橋剤を含まず、生体適合性に優れています。 |
- 有用性(作用機序と効果)
Ultracol 200の最大の有用性は、単なるボリュームアップではなく、体内の自己コラーゲン生成を強力にかつ安全に促進して自然なリフティングももたらし、肌のハリや弾力の改善させる点にあります。
作用機序
注入されたPDOマイクロフィアは、異物反応として周囲の線維芽細胞を刺激します。線維芽細胞はコラーゲン(主にI型およびIII型)やエラスチンといった皮膚の弾力構造を構成する成分を新しく生成し始めます。
注入直後: 懸濁液(CMC)によりわずかなボリュームアップが見られますが、CMCはすぐに吸収されます。
数週間後: PDO微粒子の刺激により、新しいコラーゲンが生成され始めます。
1〜2ヶ月後(効果のピーク): コラーゲン生成が最大化され、肌のハリ、弾力、自然なボリュームアップ効果が発現します。
4〜6ヶ月後: PDO微粒子は完全に体内で分解・吸収されますが、新しく作られたコラーゲン構造がその効果を維持します。

主な効果と適用部位
目の下のくぼみ(たるみ、クマ)、
ほうれい線(鼻唇溝)、
頬のボリュームロス(コケ、たるみ)、
マリオネットライン、
首(前頚部のたるみじわ)、
手背
などに注入して、コラーゲン増生などから自然なリフティング、ボリュームロスの改善、肌のハリや弾力の改善が期待できます。
下記に代表的な注入部位を示します。使用量は各人で異なりますが、大まかな目安として、
前額:1~2ml
こめかみ:0.7ml
目の下のくぼみ:0.5ml
ほうれい線:0.5ml
マリオネットライン:0.5ml
頬の外側:1ml
頬の内側0.5~0.7ml
基本的には血管損傷を少なくするため23Gのカニューラ(鈍針)を用いて、皮下直下の浅い層に注入してゆきます。

- メリット
Ultracol 200(PDOコラーゲンブースター)は、従来のヒアルロン酸フィラーやPDOスレッドリフトとは異なる独自のメリットがあります。
| メリット | 従来の治療法との比較 |
| 極めて自然な仕上がり | 注入物によるボリュームではなく、自己組織(コラーゲン)の再生によるため、硬さや不自然さがなく、非常に自然にボリュームが回復します。 |
| 長期的な持続性 | 注入後PDOは3~6か月で分解されますが、コラーゲン生成は分解後4週目から12週目まで持続するため、効果は最長で約1年持続するとされています。(推奨される治療サイクル:4〜8週間に1回を2〜3回) |
| 低リスク | PDO微粒子は血管閉塞のリスクが低いとされており、目元などのデリケートで血流の多いエリアへの使用にも適しています。さらにPDOという素材自体の「速やかに消失する」特性と、その優れた「微粒子化技術」の相乗効果によって異物肉芽腫などのリスクが少ないとされています。 |
| コラーゲン生成の効率 | 約1,400本のモノスレッドに相当する表面積を持つ微粒子が、広範囲かつ均一に線維芽細胞を刺激し、効率的にコラーゲン生成を促します。 |


- Ultracol 200(PDOコラーゲンブースター)の安全性
Ultracol 200の主成分であるPDOは医療現場において手術用吸収糸として30年以上の歴史と安全性が証明されたものです。
Ultracol 200(主成分:PDO)がPCLやPDLLA、PLLA製剤などと比較して肉芽腫形成などの長期的な副作用リスクが低いとされるのは、主にその分解速度、分解様式、および粒子の特性の違いに起因するとされています。
コラーゲンブースター製剤は、注入された生分解性物質が生体内で異物反応を引き起こし、線維芽細胞を刺激して自己コラーゲンを生成させることで効果を発揮しますが、使用されるポリマーの種類によって特性が大きく異なります。
| 製剤タイプ | 主成分 | 製品例 | 分解期間(目安) | コラーゲン生成の持続性 |
| PDO | ポリジオキサノン | Ultracol 200 | 約3〜6ヶ月 | 約12ヶ月 |
| PDLLA | ポリ-D,L-乳酸 | AestheFillなど | 約1〜2年 | 約18〜24ヶ月 |
| PCL | ポリカプロラクトン | Ellanseなど | 約2〜4年 | 約24〜48ヶ月 |
肉芽腫とは、注入された異物(フィラーやブースターの粒子)に対して、免疫細胞(マクロファージなど)が過剰に反応し、その異物を包み込もうとして形成する炎症性の結節(しこり)です。このリスクは、異物が体内に存在する期間(分解期間)と、異物に対する生体の反応の仕方(分解様式と粒子特性)に強く関連していると考えられています。
PDO(Ultracol 200)は、PCLやPLLAなどと比較して分解が著しく速いことが最大の特徴です。
分解速度の速さ: PDOは注入後、比較的短期間(約3〜6ヶ月)で完全に水と二酸化炭素に分解され、体外へ排出されます。
炎症反応の終結: 異物であるPDOが早期に消失することで、周囲の組織に生じた軽微な異物反応(炎症)も速やかに終結します。炎症反応が長期間にわたって持続しないため、肉芽腫へと発展するリスクが低くなります。
コラーゲン生成と分解のバランス: PDOはコラーゲンを生成させるのに十分な期間(約2〜3ヶ月)刺激を与えた後、速やかに消失するため、炎症性反応が慢性化しにくいとされます。
ポリマーの分解様式も、リスクに影響を与えます。
PDO(バルク浸食/Bulk Erosion): 内部から全体が一様に加水分解によって崩壊していく様式です。比較的速やかに粒子全体が消失に向かいます。
PCL/PLLA(表面浸食/Surface Erosionまたは遅いバルク浸食): 表面から徐々に分解が進むため、内部の粒子が長期間にわたり残存しやすい傾向にあります。これにより、マクロファージによる異物処理が難しくなり、肉芽腫形成を誘発しやすいとされます。
Ultracol 200は、PDOの早期分解特性に加え、その粒子の均一性と微細さによっても肉芽腫リスクをさらに低減しています。
均一なマイクロフィア: Ultracol 200は、約1,400本のPDOモノスレッドを独自のマイクロン加工技術で微細な球体(マイクロフィア)にしています。この粒子が均一であるため、注入後の生体反応(コラーゲン生成)がムラなく、安定的に起こります。


以下にメーカー提供の症例写真を掲載します。


2025.11記

監修者
医療法人社団精華会ミルディス皮フ科
理事長 村上 義之
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 医学博士
