東京都足立区北千住ならびに
神奈川県横浜市西区にあります
ミルディス皮フ科の村上です。
今回は
「食事を含めた生活習慣を改善しよう!」
と題してお話したいと思います。
「先ずは自分からしろよ」というブーメランが
飛んでくるのは承知の上で、自戒を込めての内容
でもあります。
皮膚科領域でも乾癬、アトピー性皮膚炎、ニキビなど
様々な疾患で生活指導が大切なのは皆さん
ご存じのことだと思います。
では「何で今更?」かというと、
1.自身の体調不良から生活習慣・食習慣の大切さを実感。
こうした改善は、私や該当する患者さんだけでなく、
ほぼ全員に当てはまるのではないか?
2.高額だが効果が抜群な薬剤が当院でも処方できるようになった。
(アトピー性皮膚炎に対するデュピクセントや
オルミエントやリンヴォックなどJAK阻害薬など)
この治療期間中に、患者さんにもそれまでは出来なかった
生活習慣・食習慣の改善に是非取り組んでもらいたいと思った。
3.生活習慣・食習慣の改善が各種の病気の予防や
症状の改善に繋がる可能性があると学んだ。
一例:AGE’sが高値→認知症のリスク数倍、直腸癌などある種の癌も増加、
動脈硬化、骨が脆くなり筋肉がやせ細る、卵子の老化、メタボ、
シミ・たるみ・薄毛にも関与
・食品中のAGE’sの7%が体内に蓄積するレモン汁を肉に
先にかけて焼くと体内へのAGE’sの取り込みが減少。
不溶性食物繊維を一緒に摂取すると吸着作用でAGE’sの
取り込みが減少鰹だしは食品中のAGE’sの生成を抑制する
・亜鉛欠乏で、味覚障害、創傷治癒が遷延、
活性酸素が消去できない(抗酸化力↓)、
遺伝情報の伝達が上手く行かない、免疫能低下、
有害金属が排出できない(メタロチオネイン)
・日本を含む先進国では、糖質、タンパク質、
脂質は充足しているが、ビタミンやミネラルが
不足した「新型栄養失調」が蔓延
・ビタミンD不足が深刻(英国や米国でも40%近くが欠乏状態)
・栄養不良や血糖調節障害に伴う心身の不調の方が増加など枚挙
に暇がありません。
当院でも実際に採血をさせて頂いて確認すると、有経女性でも
フェリチン値は40~50ng/dlは欲しいが、20ng/dlあたりの方が多数だし、
一桁の方も珍しくはない。亜鉛欠乏、潜在性亜鉛欠乏症の方も
ゴロゴロ。かくいう私もその一人。
・ビタミンDは当院が美容皮膚科でシミ治療をしているということ
もあってか、サプリを飲んでいる方を除くと、ほとんどが20nmol/L以下で、
一桁の方も珍しくない。分子栄養学を学び始めると、
基準値内に収っている血液検査値からでもタンパク質不足を疑う方、
低血糖で糖新生に際してビタミンB6消費されているのだろうな、
私同様に脂肪肝あるのだろうななど心身の不調に関係しそうな
状況が想像しやすくなります。
先日、咬筋のボトックス治療を希望されて当院を初めて受診された
女性の例をご紹介します。
ボトックス治療は咬筋の萎縮作用から見た目の改善にもつながりますし、
夜間の歯ぎしり、くいしばりに伴う歯の摩耗や肩こりなどにも
有用だったりします。
ボトックス治療の概略に加えて、ほっそりとした筋肉の少なそうな体型や
咬筋の発達度合いなどの外見から、夜間に低血糖を生じているのが咬筋肥大
の一因かも知れません。
簡単な血液検査、自身でアマゾンなどで「リブレ」を購入して
2週間の血糖測定をしてみませんか?と提案しました。
再来時には「リブレ」の測定結果から、
「やっぱりバリバリの夜間の低血糖でした」と報告してくれました。
血液検査から想像される状況もお話し、先ずは補食を取り入れ、
徐々にでも食事の改善、運動して筋肉つけるなどを目標にしてゆきましょう
ということになりました。
こうした体験は私にとっても非常に嬉しいことです。
美容の分野とは言え、咬筋肥大の根本原因の一因にはアプローチできたのですから。
私の知識などたかが知れたモノですし、他人を上手く導く技術もありません。
自分自身も意志薄弱で、根気が長続きしないダメ男です。
でも、今はこうありたいと私自身が思っていることを出来るだけ
簡潔に記したいと思います。
私自身が食事を含めた生活習慣を改善できないのは、
先に言いましたとおり、自分自身の性格の問題も大きいです。
本人の性格以外にも、大きな障害がいくつもあります。
重症のアトピー性皮膚炎の方々の日常を想像してみましょう。
①耐え難い痒みに四六時中悩まされ、薬の外用のために
朝晩30分以上を費やしている。
➁運動して体温が上がったり、発汗で痒みが増強する。
③香辛料が効いた食事、入浴、布団に入って体温があがると痒みが増強、
痒みで睡眠中に目が覚めてしまう。
こんな状況下で、生活習慣を改善しようなどと大それたことに
トライできるでしょうか?
私なら絶対に無理です。
最近の効果的な治療薬を導入し、「痒み」や「皮膚炎の症状」が
劇的に改善してくると、皆さん明るい笑顔が増えて
にこやかになってきます。
そして自ら
「実はずっとお腹の調子も良くなくて...」
「甘い飲み物が止められなくて、これも原因なんだろうな...」
などと皮膚症状以外のことについても話をしてくれる方もおられます。
「痒みから開放されて楽になって、何か生活が変わりましたか?」
とお尋ねすると、
「最近、運動を再開しました」
というような嬉しい報告を頂けることも多くなりました。
「痒み」や外見にも影響を与える「皮膚炎症状」が
どれだけQOLを下げていたかを実感させられます。
逆に言えば
こうした強力な治療で「痒みと症状が改善している」状況が
生活習慣の改善に取り組むチャンスでもあると思います。
生活習慣として、私が先ず思い浮かぶのは下記の項目です。
1.食事
2.運動
3.睡眠
4.ストレス対策
皆さんは各項目で、どんなことを目指して改善したいと
思っていますか?
後日、それぞれについてお話したいと思います。
順番は付けがたいですが、私は先ずは食事の改善とストレス対策
から始めました。
食事の基本は、某先生がおっしゃられるように
「何でもしっかり噛んで、ゆっくりと感謝して頂くとおいしい」。
例えそれが添加物たっぷりのコンビニ弁当であろうが、
ファーストフードであろうが、身体に良くないモノも含まれていようが、
栄養素だって含まれている。
毒を解毒できるだけの身体を普段から作っておけばよい。
しっかり噛んで食べることが栄養素を消化吸収するための第一歩。
何事にも感謝の精神を忘れない。
日本人は食事の際に、「頂きます」と言います。
その意味は、皆さんご存じのように
「そのお命、謹んで頂戴いたします」
という必殺仕事人のクライマックスのごとき心情を表しています。
ストレス対策として行ったのは、
「7つの習慣」における第2領域を増やすことを主眼にしました。
・家族との時間を増やす
・一人の時間を作る
・スケジューリング
そして夜の11時までには寝ることを決めました。
私は、とりあえずはこんな大雑把なところからのスタートでした。
ところで、一番上の桐村里沙先生のプラネタリーヘルス関連の本と
このブログの内容のどこに関連があるの?
と思われた方が多いかと思います。
そうです、直接の関係は全くありません。
でも食事や栄養と体調不良について知り始めると、
本の帯にもある「人の不調と地球の不調はつながっている」
というプラネタリーヘルスが不思議と腹落ちするように
なってくるのです。
そして、農業の大切さ、SDG’sなどにも自然と感心が向いて
ゆくようになるのです。
というわけで自宅のベランダでのプランター栽培始めました(笑)。
ミルディス皮フ科
村上 義之