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院長ブログ

ホクロ除去

2021年06月22日

ホクロ治療について

ホクロとシミはもちろん別物です。

もちろん、シミと呼ばれるものの中には真皮内(皮膚の深い層)にメラノサイト(色素を作る細胞)とともに細胞内にメラニン色素が多数ある状態や通常は表皮内のメラニン色素が主体なのだが、表層のメラニン色素が真皮内に滴落した状態を併発している症例もあります。

しかしながら一般的にシミと呼ばれているものの多くは、表皮(皮膚の表面)にメラニン色素が増加して周囲の皮膚に比べて色濃く見えている状態です。

一方、ホクロがホクロたる所以は大なり小なりホクロの細胞と呼ばれる母斑細胞が表皮と真皮の境界部や真皮内に存在していることです。
平坦なホクロもあれば盛り上がったホクロもありますが例え平坦であったとしても真皮内奥深くまでこの母斑細胞が存在しているホクロもあります。

そのため、ホクロ治療はQスイッチレーザーでのシミ治療と異なり、表面の表皮を軽くやけどさせて除去するだけでは不十分なことが大半です。

また、一般的には真皮内のメラニン色素をQスイッチレーザーで破壊するには、色素の量が多すぎることが多いため現実的でない場合が大半です。

治療においては、真皮内の母斑細胞ならびにメラニン色素の容量をどれだけ減少させることができるか、にかかっています。



参照

皮膚科医 清水 宏 オフィシャルサイト
あたらしい皮膚科学  第3版:20章 母斑と神経皮膚症候群

  1. 母斑細胞母斑(別名:色素性母斑)

https://shimizuderm.com/textbook03/text_20.html

ホクロの病理組織像について

母斑細胞母斑(真皮内・境界・複合)

http://pathology.or.jp/corepictures2010/20/c05/01.html

マクロ像:いわゆる“ほくろ“と呼ばれているものの中で最多。褐色から黒色の隆起を示す。

http://pathology.or.jp/corepictures2010/20/c05/02.html

ミクロ像(HE弱拡大):メラノサイトにもシュワン細胞にもなれなかった母斑細胞(円内)が真皮内で増生する。

http://pathology.or.jp/corepictures2010/20/c05/03.html

ミクロ像(HE強拡大):真皮浅層では数個の母斑細胞からなる胞巣を形成。多核のものもある(左図)。真皮深層ではやや小型化し、個細胞性に散らばる。 細胞境界が不明瞭(右図)。

病理コア画像より引用

社団法人 日本病理学会(Japanese Society of Pathology) 教育委員会編集
〒113-0034 東京都文京区湯島1-2-5 聖堂前ビル7階
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ホクロ治療の前に確認

先ずは、診察にて治療をご希望されるホクロを本当にホクロなのか、他の皮膚疾患(脂漏性角化症、悪性黒色腫、基底細胞癌など)が
考えられるのかについて確認をさせていただきます。

もし他の疾患が疑わしい場合は保険診療にて皮膚生検を行い病理診断にて確定診断をつけてからの治療になる場合があります。

皆さんが一番心配されるのは、ホクロの癌とも言われる悪性黒色腫(メラノーマ)でしょう。
従来より一般の方にもわかりやすいように、見分ける際に気をつけるべきポイントがABCD(E)でまとめられています。

A:Asymmetry(左右非対称):形が左右非対称でいびつな形状
B:Border(辺縁、境界):周囲の皮膚とホクロの境界がギザギザして不整/色のにじみ出しがある
C:Color(全体の色調):色が均一でなく、ムラがある(濃かったり、薄かったり)
D:Diameter(直径、大きさ):長径が6mm以上
E:Evolving(進展、変化):大きさが拡大する、色・形(隆起や潰瘍化を含む)などが変化する

上記の場合に悪性黒色腫の可能性が高まると言われています。

さらに詳しくは、下記の国立がん研究センターのHPを参照下さい。

https://ganjoho.jp/public/cancer/melanoma/index.html

診察や皮膚生検にて悪性黒色腫の可能性が高い(あるいは疑わしい)と
診察医が判断した際には、がん拠点病院や大学病院などの高次医療機関
へご紹介させていただきます。

ホクロの治療内容

当院では、ホクロ治療の適否について下記のように考えています。

施設によっては炭酸ガスレーザーではなく、高周波電気メスであったりQスイッチアレキサンドライトレーザーではなく、QスイッチルビーレーザーQスイッチYAGレーザーであったり中にはQスイッチではなくノーマルモード(ロングパルス)のルビーやアレキサンドライトレーザーを併用するところもあろうかと思います。

多少の違いはあれども、基本的な考え方は同様だと思われます。

ホクロ治療の方法として、大きく分類すると
1)メスによる外科的切除
2)炭酸ガスレーザーでの蒸散治療
3)Qスイッチレーザーでの治療(炭酸ガスレーザーに併用の場合もあり

当院で行っているホクロ治療もこれら3種類の治療を使用しています。
以前はダイオードレーザーによる治療を行っていましたが、現在は対応機器が無くなり行っていません。

1)メスによる外科的切除

先ず、ホクロ治療の目的を確認しましょう。
傷痕がある程度残ろうとも、確実に根こそぎホクロを除去したいというのであれば、やはりメスを使用した外科的切除が優先されます。

外科的切除治療にも種々の方法がありますが、代表的な治療法として紡錘形にデザインしてホクロを切除して縫合して線状の傷と交換するという方法があります。

この場合には線状に縫合しやすくするため紡錘形にデザインするので、ある程度のホクロ周囲の正常皮膚を含めて切除することになります。

結果として元のホクロの2~3倍の線状の傷と交換することになります。

くりぬき法といって、ホクロより一回り大きくくりぬくように切除して縫合せずに自然に傷が縮小してゆき塞がるのを待つ方法もありまが
大きいと陥凹瘢痕(へこんだ傷痕)が目立ってしまいます。

それを軽減させるために切除辺縁を巾着状に縫合する場合もありますが原則的には小さいホクロや腫瘤に対して行う方法だと思います。

2)炭酸ガスレーザーでの蒸散治療

一方で、炭酸ガスレーザーによるホクロ治療というのはホクロの成分(母斑細胞)が下床に多少残っても良いので周囲の正常皮膚をできるだけ傷つけないで母斑細胞の群れを蒸散(削り取る)させてそれらのボリュームを減らして見栄えの改善をお手軽に得ようというものです。

もちろん、浅いホクロであれば1回の施術でほとんどわからないレベルになるものもあります。

盛り上がった黒いホクロがあったとします。1回の炭酸ガスレーザー治療で平坦化はしたけれどもある程度の黒い色調が残った状態になったとしたら少なくとも平坦化して元の盛り上がった黒いホクロに比べると目立ち度合いは減少して見栄えの改善には繋がっていると思われます。

また黒い平坦なホクロが治療によって範囲が縮小したり色調がより薄くなったりしても見栄えの改善としての一定の効果は得られたというような状態を想像して頂ければと思います。

こうした変化を皮膚への侵襲を少なくしてお手軽に得ようというのがレーザー治療だと考えて頂き、それにてメリットを感じられるようであれば適応となると考えて頂ければよいかと思います。

そのため、こうしたレーザー治療にはホクロのタイプによってより適したホクロとそうでないホクロがあります。

レーザー治療で変化がでやすい(メリットがでやすい)ホクロ

・隆起した色調の薄いホクロ

・隆起した色調の濃いホクロ
(黒さが多少残っても、平坦化する)

・平坦で色調の薄いホクロ
(薄いものほど、炭酸ガスよりQスイッチレーザー治療が適しています)

変化が得られ難い(レーザー治療が適していない)ホクロ

・平坦で非常に色が濃いホクロ
 *色調が青く見えれば見えるほど真皮の
 深い位置にまで色素があることが予想されます。

典型例としては、平坦なものもあれば隆起したものもありますが青色母斑と呼ばれる真皮にメラニン産生能が高いメラノサイトが密集したホクロが挙げられます。
治療としては切除治療を選択します。

参照

皮膚科医 清水 宏 オフィシャルサイト
あたらしい皮膚科学  第3版:20章 母斑と神経皮膚症候群

b.真皮メラノシアイト系母斑:青色母斑

https://shimizuderm.com/textbook03/pdf/20-10.pdf



治療手順

  • どのホクロを治療するかを確認します。
  • 大きさを測定して、事前に料金を提示します。
  • 同意書の記入
  • 写真撮影
  • 患部の消毒後に局所麻酔薬の注射
  • 隆起が顕著であれば、11番メス(尖刃)などで
    突出部をshave(切り取り)します。
  • 炭酸ガスレーザーにて、なだらかになるように
    ホクロの周囲も含めて蒸散治療を行います。
  • 必要時にはQスイッチレーザーの追加照射を行います。
  • 止血を確認し、ドレッシング(ハイドロコロイド製剤など)
    を患部に貼付します。
3)Qスイッチレーザーによる浅い平坦なホクロの治療

真皮内の母斑細胞ならびにメラニン色素の量が少量で浅い位置にあるようなホクロ(一般的には平坦で色調が薄い茶色)詳しくは境界母斑か複合母斑の真皮内病変が非常に少ないタイプのホクロが対象となります。

通常のシミ治療にも用いられるレーザーですがその出力を強く設定することによって強い反応を起こさせて除去しようという治療法です。
局所麻酔の注射も不要で炭酸ガスレーザーよりもさらにお手軽なだけでなくより施術後の痕が残りにくい方法となります。

浅いホクロであれば、時に複数回かかることもありますが効果的かつ簡便でよい方法だと思います。

治療手順

  • 大きさを測定して、事前に料金を提示します。
  • 同意書の記入
  • 写真撮影
  • Qスイッチレーザーの照射
  • ドレッシング(肌色紙テープなど)を患部に貼付します。

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ホクロ治療全般について

一定の深さのホクロの治療においては、外科的切除はもちろん、炭酸ガスレーザーによる治療でも傷痕は必ず残ってしまいます。
例えば、炭酸ガスレーザーで一見遠目ではきれいにみえても近くで拡大してみると治療部位が周囲の正常皮膚と比較すると毛穴が消失していたり、皮膚のキメが消失してツルツル、テカテカした軽度の瘢痕を形成しているのがわかります。

これは致し方のないことです。
これら傷痕を出来るだけ目立たせないで、元のホクロがより目立たなくなるように皆様と相談してどの方法を選択するのかを一緒に考えてゆきたいと思います。

また、盛り上がったホクロが炭酸ガスレーザー治療によって一旦は平坦化しても、加齢とともに再度隆起してくることは時に見受けられます。
これは若年者であればあるほど、その確率は高くなります。

考えてみて下さい。

16歳の顔面に隆起したホクロがあったとします。その子が成長して保護者の年齢になられた時に果たしてそのホクロは同じ大きさでしょうか?
多少なりともさらに大きくなっている可能性は十分にあります。

一方で、70歳の年齢の方の顔面の隆起したホクロが、その後さらに隆起していく可能性はかなり低いであろうと想像できます。

外科的手術、レーザー治療など、どの治療法においても個人差がありますし個人差だけでなく個々のホクロのタイプや深さによって同じ治療法を行ったとしても結果が異なることがあります。

私たちはベストをつくしますが、結果に差が出てしまうことは残念ながらすべての治療における前提条件となっていることを何卒ご理解下さい。


医療社団法人 精華会
ミルディス皮フ科 村上 義之