Introduction
美容治療の考え方と当院で提供できる美容治療と
スキンケアについてまとめてみました。
「見た目のアンチエイジング」といったところ
でしょうか?
今までに私が講演などで使用したスライドを利用
してお話してゆきたいと思います。
急ごしらえで手抜き部分も多数あり、わかりずらい
箇所などがあろうかと思いますが
どうぞご容赦ください。
皆さんの参考になれば幸いです。
美容治療とはどういうものかというと、大きく分ける
と下記の二つになります。
「5~10年前の自分の肌を目指す」:アンチエイジング
例)後年出現したシミ、シワ、イボを治療。
頬を以前にようにふっくらさせる。
(年齢とともに下垂してたわみが出現するため)
「数年前に戻す」と考えましょう。
「自身の顔のバランスを整える」:美容整形
例)鼻を高くする、下顎を出す、など輪郭や
他のパーツとの比率を整える。
幼少時からの右頬のホクロを取る、など左右
のバランス(色ムラや表面の凸凹の差)を整える。
「若い頃から存在する構造を変化させる」
と考えましょう
観察の仕方(我々医療者がどこを見ているか?)
人によって多少異なるのかも知れませんが、
箇条書きにしてみました。
1)Facial shape (Cheek, Chin, Symmetry) :
顔の輪郭(頬、顎、対称性)
2)Forehead height / shape:
前額の高さ/形
3)Eyebrow shape:
眉の形
4)Eye size inter-eye distinction:
眼の大きさ、くっきり度(いわゆる目力)
5)Nose shape:
鼻の形
6)Lips (length, height):
口唇(幅、高さ・厚み)
7)Skin clarity / texture / color:
皮膚の透明感/感触/色
8)Symmetry vs. Asymmetry:
対称性 vs 非対称性
文章で書くとすごいことのように思われる方も
おられるかも知れませんが、実際には多くの人が
初対面の人を観察しているのと特に変わるところ
はないのだろうと思います。
観察する医療者の好みがこれらの基準に影響を
及ぼすのも多少は致し方がないことでしょうが、
我々医療者であろうと一般の方であろうと
「美」に対する感覚に大きなズレはありません。
多くの方が無意識にうちに行なっていることを、
多少なりとも自分にとってわかりやすいように
項目化(あるいは単純化)しているに過ぎません。
以下からは少し「美」に関わる代表的な事項として
①美の比率としての黄金比
②鼻の先端とあごの先端を結んだ線:
E-ライン(Esthetic-line)
③対称性
④個々のパーツの形と比率と周囲との調和
(鼻を例として)
について考えてみたいと思います。
①美の比率としての黄金比
皆さんも「黄金比」という言葉をお聞きになった
ことがあるのではないかと思います。
有名なところでは、バルテノン神殿やピラミッド、
ミロのビーナスにもこの比率が見いだされるそうです。
また、自然界にも現れ、植物の葉の並び方や巻き貝の
中にも見付けることができることなどもあいまって
最も安定し美しい比率とされ、意図的に黄金比を
意識して創作した芸術家も数多いと言われています。
少し日本人の好みを考慮した「白銀比」
(別名で大和比とも言われます)というのも提唱
されていますが、こちらは代表的なところでは、
法隆寺の五重塔(平面図における短辺と長辺)や
四天王寺伽藍(敷地の平面図における短辺と長辺)
さらには用紙サイズ(A版B版の縦と横)が
あげられます。
黄金比率=1:1.6 or 0.6:1
白銀比率=1:1.4 or 0.7:1
では下の画像を見てみましょう。
向かって左右の写真のどちらを魅力的と思われますか?
多くの方が向かって左を魅力的と答えるでしょう。
この傾向は洋の東西を問わないそうです。
この黄金比を簡略化したものが下記になります。
後日、このあたりの小冊子も出せればとは思っている
のですが、なかなか筆が進みません。
②鼻の先端とあごの先端を結んだ線:E-ライン
E−ラインとは、美しい横顔の基準としてアメリカの
矯正歯科医のDr.リケッツにより研究発表されたものです。
鼻の先端とあごの先端を結んだ線をE−ライン
(Esthetic-line)と称し、このE−ラインからの唇の
後退突出の程度により横顔のバランスを評価する方法です。
日本人女性の横顔の美しさは、多くの研究結果から、
E−ラインよりも上下の口唇が若干内側にあることが
良いと言われています。
こうした理由から、鼻、口唇、下顎などにヒアルロン酸などの
フィラーを注入してE-ラインを整えたりもします。
③対称性(Symmetry)
続いて、対称性についての話になります。
これは素直になればほとんどの人が同意するの
ではないかと思います。
意地汚い見方をすれば、我々は左右非対称が当たり前で
あるが故に、よけいに完全な対称性に強くあこがれて
しまうのかも知れません。
左上は東大構内を散歩中に撮影したものです。
人工物だけでなく、自然界の中にも多くの
シンメトリーに近いものが存在しています。
でも、人間と同様に完全ではないのですよね。
そこがまたよいところかも知れません。
ひん曲がったニンジンや大根もあります。
もちろん形がよいものが美味しいとは限りません。
味は別としても、いびつな形にむしろ愛着を持つ
人も実は少なくないかも知れません。
「蓼食う虫も好き好き」
「十人十色」あるいは「あばたもえくぼ」の
方が近いのでしょうか?
このように考えはじめると、ますます混乱して
しまいますね。
しかしながら、美容治療自体が結論としては「自己満足」
のために行なっている側面があるのも事実で、換言すれば
「元気に明日を生きるための活力」を得るために行なう
「趣味」に近いものとも言えそうです。
治療によって自分が自分を好きになれればそれで成功だと
私は思っています。
④個々のパーツの形と比率と周囲との調和(鼻を例として)
全体のバランスの大切さ (黄金比など)、シンメトリーの美しさ
を見てきましたが、もちろん、個々のパーツの美しさにも
比率や形が重要です。
「鼻」を例にとってみましょう 。
日本人と西洋人で、もちろん「鼻の形」にも違いがあります。
しかしながら、「鼻尖部の軟部組織が厚いため、いわゆる
団子鼻が多い」、「眉間のアーチが低い」などの日本人など
アジア人の特徴はあれども、全体のプロポーションは
似たような物のはずです。
鼻を高くするに際しても、全体のプロポーション
(周囲とのバランス)を無視すると左上の写真のような
違和感を覚える結果に陥ります。
「鼻」の形もいろいろです。
私自身も調べていて、「ムキッ鼻」などと表現すること
を初めて知りました。
「よくもまあ分類したなあ~」というのが実感です。
鼻を気にする人にはナルシストが多い、とも言われます。
オバマ大統領にも整形疑惑が…!?
美容治療入門3へ続く…
医療法人社団 精華会
ミルディス皮フ科 村上 義之