米国皮膚科学会(AAD)は3月21日、妊娠中の痤瘡治療に
関する専門家の見解を紹介した。
妊娠中のアンドロゲンの増加により、一部の妊婦は
難治性痤瘡を発症することがある。
マイアミ大学のElizabeth Keri氏は、妊婦に対する
一般的な痤瘡治療として、催奇形性の恐れのない局所治療薬
を推奨する。
痤瘡治療に使われる局所抗生薬のうち、
アゼライン酸は肝斑や色素沈着にも効果がある。
局所治療に反応しない痤瘡には、アジスロマイシン、
セファレキシン、エリスロマイシンが安全で効果的。
また、光治療は痤瘡に対するファーストライン治療
ではないが、局所治療や処方箋を必要としない薬剤
で効果がない時に用いる。
Keri氏によると、痤瘡治療中に妊娠して服薬を中止する
と痤瘡が悪化する可能性があるため、妊娠前に痤瘡管理が
できているのが望ましい。
適正体重を保つことも大切。
妊娠中は刺激の少ない洗顔料を使ってぬるま湯で洗顔し、
広域スペクトルの日焼け止め(SPF30以上)を使用する。
また、授乳期間の服薬は妊娠中に準じ、妊娠中に安全
とされている薬剤は一般に授乳中も服用できる。
「産前産後のうつを発症しやすい時期に、妊婦が気分良く
いることは大切。(容貌を損なう)痤瘡の治療をないがしろ
にしてはいけない」とKeri氏は述べている。
【関連リンク】
Acne can put a damper on hopes of glowing skin during pregnancy
以上を要約すると、下記の3点になります。
①催奇形性のない局所治療薬として、アゼライン酸が有効
②局所治療薬に反応しない症例では抗生剤の「ジスロマック」、
「ケフレックス」、「エリスロシン」が有用
*日本ではいずれも尋常性ざ瘡での保険適応を有していません。
ジスロマックは表在性皮膚感染症の保険適応もありません。
③上記で効果が得られない時の選択枝として、光治療
ニキビの症状
ニキビは毛穴のつまりと皮脂分泌が増加することで始まります。
最初は面皰(メンポウ=コメド)と言われる状態であまり
目立ちませんが、ニキビ菌の増加とともに炎症が起こり赤ニキビ
と言われる状態へ悪化します。
以下はニキビの段階的進展を示します。
①初期段階
面皰(メンポウ)はコメドともいわれニキビの初期段階です。
古い角質がとれずに残ってしまい、毛穴にフタをして詰まって
いる状態です。白ニキビや黒ニキビともいわれています。
②炎症段階
ニキビ菌が増殖し、たまった皮脂や炎症物質によって
ニキビが赤く盛り上がり、さらに膿がたまるように
なっている状態です。炎症が進むと治療後に
黒ずんだりすることもあります。
妊婦・授乳婦、ディフェリンが刺激のために使用困難な方
のにきび治療にアゼライン酸!
アゼライン酸とは?
アゼライン酸は 海外でニキビ治療薬として昔から使われている
成分です。アゼライン酸はメラニンの生成を抑える効果から、海外
で美白目的の治療薬として開発が始まりました。
その臨床試験中に美白とともにニキビへの効果が認められました。
アゼライン酸には、古い角質が毛穴にフタをするのを防ぐとともに、
ニキビ菌への抗菌活性があることが分かりました。
アゼライン酸は、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界の
80カ国でニキビ用医薬品として承認され約30年間皮膚科など
で販売されています。
欧米のニキビ治療標準書でも、面皰治療においてアゼライン酸は
トレチノインやアダパレン(ディフェリン)などの医薬品に
次いで推奨されています。
特にアゼライン酸はトレチノインなどの医薬品に比べ皮膚への
刺激が少ないことから、刺激に耐えられない患者様や妊娠
していたり、妊娠の可能性のある女性の患者様向けに医療現場
で選択されています。
また、アゼライン酸は美白効果を有することから、ニキビが
治った後の気になる黒ずみへの効果も期待出来ます。
アゼライン酸は、小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれて
いる成分で、日常的に食事などで口にしている天然物由来の酸です。
天然物由来の酸ということもあり、外用したときに部分的な
「熱感」「かゆみ」などのごく短時間の刺激症状が見られる
ことがあります。
しかし、刺激が強い場合には、使用回数や使用量を減らすことで、
その後も使用し続けることができます。
長年海外で使われている事や天然物由来であることから、
アゼライン酸はきわめて安全で有用な物と言えます。
アゼライン酸を使う上でのご注意
1.傷、はれもの、湿疹、かぶれ等、異常のある部位には
使用しないで下さい。
2.化粧品がお肌に合わないとき(下記のような場合)は、
使用を中止し、医師にご相談下さい。そのまま使用を
続けますと症状が悪化する事があります。
○使用中に赤味・はれ・かゆみ・刺激等の異常が現れた場合
○使用したお肌に、直接日光が当たって、上記の様な異常が現れた場合
3.目に入らないようにご注意下さい。万一目に入った場合はすぐに
水またはぬるま湯で洗い流して下さい。尚、異常が残る場合は眼科医に
ご相談下さい。
4.材質によっては落ちにくいこともありますので、衣服等につけない
ようご注意下さい。
万一衣服に付いた場合はすぐに洗剤で丁寧に洗い流して下さい。
ご使用方法
Q&A
Q1:何日分(何回分)ですか?
A1:顔全体に使用する場合、1回あたりの目安量はパール粒大
(直径1cm)で60回分(朝晩2回で、1ヶ月分)になります。
Q2:開封後の使用期限は?
A2:保管状態にもよりますが、開封後はなるべく早くお使いください。
6ヶ月を目安にご使用いただくことをおすすめします。
Q3:おすすめの年齢は?
A3:にきびが気になる年齢(10歳くらい)からおすすめしています。
Q4:ピリピリするのは大丈夫?
A4:使用した際に、若干のピリピリ感などをを感じることがありますが、
赤くなったり、痛みが増強することが無ければ心配はありません。
刺激を感じる際は、必要に応じて一定期間をあけるなど
(たとえば、夜のみや1日おきなど)様子をみてください。
それでも症状がおさまらない場合は、ご相談ください。
Q5:ニキビのないところにも使用してもいいですか?
A5:ご使用いただけます。肌を正常な状態に整えるためにも、
顔全体にご使用することをお奨めします。
Q6:香料や防腐剤は入っていますか?
A6:無香料、無着色、防腐剤・アルコールフリーです。
Q7:BGとは?
A7:ブチレングリコールのことです。保湿成分として
化粧品に良く使われている成分です。
商品名 | DRX AZA クリア |
容量 | 金額 |
15g | 1,980円(税込) |
主成分 | 全成分: 水、アゼライン酸、BG、トリエチルヘキサノイン、ミネラルオイル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジグリセリン、ベンチレングリコール、ステアリン酸グリセリル、ホホバ種子油、PEG-60水添ヒマシ油、ナイロン-12、セタノール、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、EDTA-2Na |
・ニキビの原因となる毛穴のつまりに着目
・ニキビがちな肌の方のホームスキンケア
・べたつかずしっとりとした使用感
・ノンコメドジェニックテスト済み
・無香料・無着色・防腐剤フリー
を特徴としたのが
アゼライン酸高濃度配合クリーム:ディーアールエックス® AZAクリア®
角質に作用して、毛穴の出口で詰まりにくくする予防的な作用を
持った薬剤のうち、ディフェリン(アダパレン)、エピデュオ
(アダパレン+過酸化ベンゾイル)は妊婦への投与は禁忌と
されています。
一方でベピオ(過酸化ベンゾイル)やデュアック
(過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)の過酸化ベンゾイル
を含有する薬剤は有益性投与とされています。
妊婦に対する有益性投与とは、下記にもあるように、胎児への
潜在的なリスクを超える有益性が得られると予想される場合に
限って投与(使用)が認められるという意味であり、実際には
主治医と患者双方の相談合意の下に使用可能だということです。
しかしながら、「胎児への潜在的なリスク」と言われると
躊躇される方も少なくありません。
何かあった際には自分を責めてしまうことにもなりかねませんので
こうしたリスクのより少ない(制限のない)治療法を選択する
方も多数おられます。
(ベピオゲルの添付文章より)
4.6 受胎能、妊婦及び授乳婦
受胎能
過酸化ベンゾイル外用剤の受胎能への影響に関するデータはない。
妊婦
過酸化ベンゾイル外用剤の妊婦での使用に関するデータは少ない。
動物実験では、生殖毒性に関連する直接的又は間接的な有害作用は
示されていない(5.3 項参照)。
過酸化ベンゾイルの全身曝露量は非常に少ないので、妊娠中の
影響は予想されない。
しかし、妊娠中の過酸化ベンゾイルの使用は、胎児への潜在的な
リスクを超える有益性が得られると予想される場合に限ること。
授乳婦
過酸化ベンゾイルの経皮吸収量は非常に少ないが、過酸化
ベンゾイル局所適用後のヒト乳汁への移行に関しては不明である。
授乳中の過酸化ベンゾイル外用剤の使用は、乳児への潜在的な
リスクを超える有益性が得られると予想される場合に限ること。
授乳中に使用する場合は、乳児による偶発的な摂取を避ける
ため過酸化ベンゾイルの胸部への適用は行わないこと。
医療法人社団 精華会
ミルディス皮フ科 村上 義之