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院長ブログ

ヒトパピローマウイルス感染症(HPV)ワクチンの延長対応について:足立区    

2021年10月14日

東京都足立区ならびに神奈川県横浜市西区
にあるミルディス皮フ科の村上です。
足立区より添付の連絡がありましたので、
皆様にお知らせいたします。

表題にあるように、HPVワクチンの接種期限が
コロナワクチン接種との関係で、法廷気管内での
接種完了が困難であることから延長されました。

令和4年3月31日までの有効期限の方は、
令和5年3月31日までに1年間延長

現在高校1年生の女子が対象
残念ながら現在高校2年生の方でHPVワクチン未接種
の方への救済措置、現在中学3年生の方の延長措置等は
現在なしとのこと。
子宮頚癌に対するHPVワクチンは平成25年(2013年)
4月に定期接種になりましたが、接種後に同ワクチンとの
因果関係を否定できない重篤な「多様な症状」が
報告されたことから、同年6月14日付けで厚生労働省より、
同ワクチンの積極的な接種勧奨は差し控える旨の通知が
出され、定期接種は継続されているものの、その後は
下記のように摂取率の低迷が続いていました。

https://www.m3.com/news/iryoishin/970906

その結果、下記のような状況になってしまったのです。
HPVワクチンの定期接種化によって、せっかく
子宮頚癌罹患率が低下していたのが、積極的勧奨を
控えたことによって、それ以前の罹患リスクにまで
戻ってしまったのです。
(子宮頸がん死亡4000人増「接種中止の結末示したかった」
インタビュー 2021年1月21日より転載)

今回の研究は、子宮頸がんになる人が生まれ年度ごとに
どれくらいいるのかという数を出したものではなく、
HPVワクチンの積極的勧奨をストップした影響により、
減らせるはずの死亡がどれくらい減らせなくなったか、
という数を推計したものです。

1994年度から1999年度生まれの人たちはHPVワクチンを
打っていますから、本来であればこれくらいの死亡数に
抑えられていたはずだろうという数字を基準にし、
それと比べてどれくらい死亡が増えるのかを推計した
のがポイントです。

研究の結果は、平易に言えば、現状の1%以下の接種率が
続く限り毎年4000人強の罹患と1000人強の死亡が確定し
続けるということでしょうか。

私たちは罹患と死亡の「リスクが確定した」と表現しています。
定期接種の上限年齢が16歳と決まっていますが、2000年度から
2003年度生まれの人は既に16歳を超えてしまっています。

今後、その人たちが例えば「一生、性交渉を持たない」
「頻繁に子宮頸がん検診に行く」というように行動を
変えない限りは、この確率はほぼ確定したと言えると
いうことです。

https://www.m3.com/news/iryoishin/869429?category=opinion

自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」
(細田博之会長)が8月30日、HPVワクチンの積極的勧奨を
 10 月より前に再開することなど5項目から成る要望書を
厚労大臣らに提出したこと、コロナ禍での受診できなかった
事情やコロナワクチンの接種でのワクチンスケジュールなどを
考慮した結果のHPVワクチン延長対応なのでしょう。
*コロナワクチンと他のワクチンの同時接種は認められていません。

生ワクチンでなくても最低2週間は間隔をあけての接種と
されています。
HPVワクチン「積極的勧奨の再開を妨げる要素はない」の記事
にもあるように、下記の厚労省での議論の際の合同部会資料にも
あるように、HPVワクチンの安全性、HPVワクチンの有効性、
HPVワクチンの集団免疫効果

(2021年10月1日合同部会資料)

できれば、日本産婦人科学会の要望書にもあるように、
新型コロナウイルスの感染拡大にて接種できなかった
方達の救済措置として、当面の間だけでも定期接種の
対象を高校3年生にまで延長して頂きたいものです。

残念ながら今回の延長措置対象は高校1年制の女子のみです。
現在は当院でも9価ワクチンの男性への治験を行っています。
本来であれば早期に定期接種対象の女子に9価ワクチンの
適応認可、ならびに一部の諸外国のように男性への接種も
是非とも検討頂きたいと思います。

最後に、現時点で定期接種を逃した場合でも、自費での接種を
検討したり、20歳以上の方は是非とも検診を受けて欲しい
と思います。

参考
HPVワクチン定期接種期間延長とその周知に関する要望書
:日本産婦人科学会

HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン) の
接種期間延長措置について:江東区

HPV(ヒトパピローマウイルス感染症)ワクチン
定期接種:足立区

子宮頸がん死亡4000人増「接種中止の結末示したかった」
-大阪大産婦人科研究チームに聞く◆Vol.1:M3医療維新
「正念場のHPVワクチン」

HPVワクチン「積極的勧奨の再開を妨げる要素はない」:
M3医療維新「正念場のHPVワクチン」

「HPVワクチンで救えるはずの命」、今後50年で2万人超に:
M3医療維新「正念場のHPVワクチン」
(北大のシャロン・ハンリー氏、日医・医学会の
フォーラムで発表)

医療法人社団 精華会
ミルディス皮フ科 村上 義之