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院長ブログ

乳酸菌生産物質1『腸内細菌の働き』

2021年08月20日

腸内環境改善のための乳酸菌生産物質とは?
豆乳+乳酸菌・ビフィズス菌 を発酵させたものが「乳酸菌生産物質」です。

乳酸菌生産物質

腸の善玉菌がプロバイオティクス、善玉菌のエサになるのがプレバイオティクス、両者をあわせたものをシンバイオティクスと呼んでします。乳酸菌生産物質はそれらとは異なり、バイオジェニックスと呼ばれています。

今回は腸内環境改善のお話です。何故皮膚科で腸の話? 少々おつきあい下さい。

内容
  • 1)腸内細菌の働き
  • 2)腸内細菌:善玉菌と悪玉菌
  • 3)乳酸菌生産物質とは
  • 4)腸内環境を整えるために
  • 5)乳酸菌生産物質のエビデンス(科学的根拠)
  • 6)乳酸菌生産物質「フローラル ケア」
1)腸内細菌の働き

「腸内環境を整える」ことの重要性については、2015年には多数のテレビ番組や雑誌の特集、さらには一般書籍も多数出版されましたので一気に多数の方に認知されたように思われます。目にされたことでしょう。
「Tarzan No. 669」もその中の一つで、わかりやすくまとめられています。
マーティン・J・ブレイザーの「失われて行く、我々の内なる細菌」(みすず書房)やNHKスペシャル取材班の「やせる!若返る!病気を防ぐ! 腸内フローラ10の真実」なども2015年に発売されています。

Tarzan No. 669

アナタしか救えない「環境問題」が、ココにある!
研究が進む腸内環境にフォーカスする特集が登場。
日本人の腸内環境の実態から、腸年齢チェック、整腸薬・胃腸薬ガイド、腸に効く食材番付、運命の乳酸菌の探し方などなど。もちろん、腸内環境を整える10のまる必テクも紹介。気になる、身になる保存版です。

内容の一部を「乳酸菌プロデューサー」氏がブログで紹介されていますので、参考にして書店やネットで購入してください。

http://ameblo.jp/lactic-p/entry-12016208870.html

腸内環境改善が何故必要なのか?

皆さんよくご存じのように、腸内環境を改善が必要なのは何も便秘解消のためだけではありません。

腸は第二の脳とも言われますし、「腸―脳 相関:gut brain axis」という言葉も耳にするようになってきました。

腸内環境を改善する(善玉菌を増やす)と精神(心)にどのような変化が起きるかについての研究も多く行なわれています。
腸内細菌の代謝物を一括して調べるメタボローム解析も進み、腸内の細菌叢が免疫や消化だけでなく、神経系にも関与しているのではないかとの報告が相次いでいるが、それらの根拠の一つは、腸内細菌の代謝物を一括して調べるメタボローム解析によって細菌の一部が、ドーパミン、セリン、Nアセチルアスパラギン酸などの神経伝達物質を作り出していたことや還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)などのエネルギー代謝に関連する物質をも作り出していることも分かってきています。
腸内細菌叢が脳や心の状態と密接にリンクして、うつ病や認知症などと関連している可能性も言われてきています。

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例えばここ10年で2倍に増えたうつ病ですが、セロトニンなど神経伝達物質の不足や腸内細菌の減少が原因と考えている研究者もいます。
神経伝達物質とは脳内の細胞間の連絡に必要な物質で、代表として次の3つのアミノ酸が鉄分や葉酸、ビタミンB6の作用により化学変化して作られます。
グルタミンからはGABAが作られ、栄養素として取らなければならない必須アミノ酸であるフェニルアラニンからはドーパミン、そしてトリプトファンからはセロトニンが作られ、それぞれリラックス感ややる気や幸福感をもたらします。

これらはすべて脳内で作られているのではなく、ほとんどが腸で作られていて、セロトニンは95%が腸内で合成されています。
このセロトニンは幸せ物質とも言われ、その多くが脳に達すれば幸福感も倍増と考えたいのですが、セロトニンは脳血液関門という関所を通ることができず、脳内に入れません。
かえって増えすぎると過敏性腸症候群を引き起こしてしまうともいわれています。

そこで、うまく働くのがこれらの前駆物質(セロトニンでいえば5-HTP)です。
前駆物質は脳血液関門を通過できるので脳で神経伝達物質に変わり脳に作用することができます。

つまり、腸内細菌が沢山の前駆物質を作ると脳に充分送られて幸せ物質となり、良好な精神状態が作られます。

ストレスによって腸内細菌が減少するなどの現象は動物実験だけでなく、ヒトにおいても怒りや不安、恐怖などの心理的ストレスによって腸内細菌叢が変化することも知られています(傾向としては、ストレスにて善玉菌が減少し、悪玉菌が増加)。

ストレスが腸内細菌叢を変化させる機序としては、神経系やホルモン、サイトカインなど共通の情報伝達物質と受容体を介した免疫機能抑制や腸管運動の変動を介した間接的影響が考えられていましたが、最近ではストレスによって腸管局所で産生されるカテコラミンなどによって、大腸菌などの種々の菌の病原性が増強することも判明してきているようです。
また、神経や脳の発達や反応に腸内細菌叢が影響を与えていることもわかってきています。

また、無菌マウスと普通に腸内細菌がいる通常マウスを使った実験では、ストレス負荷によるホルモンの反応が無菌マウスでは強く出て、バランスのとれた腸内細菌がいる通常マウスでは反応が穏やかだったことから、腸内細菌にはストレスを抑える力があることがわかりました。

さらに、強いストレス下ではビタミンB6、B12、葉酸が減りアミノ酸の中間代謝物であるホモシステインが増えてきます。
このホモシステインは動脈硬化や骨粗鬆症そしてアルツハイマー型認知症の原因となる厄介な物質です。

そもそもビタミンB6や葉酸は腸内細菌が作っているものなので、サプリ等で沢山とらなくても腸内細菌をバランスよく増やすことで補えます。

そして、ビタミンB6や葉酸はセロトニンやドーパミンまたその前駆物質を作るのに必要な物質でもあるので、腸内細菌が幸せ物質を作ることによりストレスを和らげる流れが形成されます。

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以上、「つるかめ院長のブログ」より引用改変しました。

何故、皮膚科で腸内環境改善なのか?

「腸―脳 相関」はよいとして、何故に皮膚科で?と疑問に思われる方も多いかもしれません。最近では、「腸―脳―皮膚 相関」ということも提唱されています。これについては、「場末P科病院の精神科医のblog」で論文をまとめてくれているので、一部改変も加えて抜粋引用します。ご興味がある方は是非一読を。

http://blog.livedoor.jp/beziehungswahn/archives/36200564.html

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「にきび」はうつ病や不安障害、身体醜形障害などにもリンクしており、「にきび」で苦しんでいる患者では、うつ病の罹患率や自殺の発生率が高いことが多くの論文で指摘されています。

皮膚疾患は性格にもマイナスの影響を及ぼすことが知られており、アトピー性皮膚炎の患者では、抑うつ傾向や不安傾向が強い、情緒不安定になり易い、 自己効力感が低い、自尊心が低い、他者を批判し易い、何でも限度を超えてやり過ぎてしまう、ストレス耐性が低い、怒りや敵意といった他者へのネガティブな 感情をうまく処理できないことが多い、等の傾向があるとも指摘されています。

アトピー性皮膚炎においても、腸内細菌との関連性が以前から指摘されており、にきび同様に、プロバイオティクスの使用によって腸内細菌叢を整えておくことで、「腸ー脳ー皮膚 相関」を介する皮膚への良い補助療法となり得るであろうと報告されています。

慢性的な皮膚疾患では、皮膚ー脳ー免疫系とのリンクによって、不快な皮膚刺激→中枢神経系への悪影響(HPA相関の障害)→免疫系の障害(炎症性サイトカインなどの増加)→皮膚におけるアレレギー反応や炎症性反応の増加→表皮のバリア機能の低下→不快な皮膚刺激といった悪循環が生じます。

ストレスで悪化する皮膚疾患は、にきびや酒さ以外にも、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多汗症、神経症掻破、貨幣状皮膚炎、掻痒症、乾癬、脂漏性皮膚炎、トリコチロマニア、蕁麻疹など多数知られています。

プロバイオティクスやプロバイオティクス由来の製品の局所的な使用(生菌や乳酸菌生産物質などの外用)は、様々な方法によって、にきびや酒さになり易い肌にとっての利益をもたらします。

第一に、もし、皮膚の表面に生きたままでプロバイオティクス菌が生存することができれば、その菌株は、患者の皮膚を保護することができるであろう。
起因菌が皮膚に結合する部位をプロバイオティクス菌が競合阻害することで、他の有害な微生物のコロニー形成を防ぐことができる。
もし、細菌が表皮の上で生存できるのであれば、この防護作用のメカニズムが応用できる。

第二に、ある種のプロバイオティクスの菌株は、抗菌力を有する物質を分泌することが示されている。
抗生物質がにきびや酒さの起因菌への抗菌や抗炎症の治療として長い時代にわたって使用されてきたように、プロバイオティクスは、にきびや酒さの治療としてはユニークなメカニズムを有し、非常に好ましい抗菌作用を発揮する代替手段となることが想定できる。
これらのプロバイオティクス菌が産生する物質は、長期使用によって耐性を誘導するような抗生物質とは異なるため、慢性的な皮膚疾患の治療においては、抗生剤よりも好ましいものになることであろう。

第三に、ある種のプロバイオティクス菌株は、上皮細胞と接触ように配置された時に、炎症経路や炎症性のサイトカインの生成を阻害することができる。
慢性炎症は、にきびや酒さにおいて主要な病態を果たしており、自然な成分による免疫調節物質は 、にきびや酒さの治療にとって重要な役割を果たし得るであろう。

これらのメカニズムのいくつかは、皮膚で生き残るような生きた菌株を必要とするが、他の場合では、皮膚に適用された際に、皮膚や免疫の適正な機能を維持するようなプロバイオティクス菌の溶解物や誘導体を必要とするのかもしれない(=プロバイオ ティクス菌が生き残るよりも、その菌に含まれている成分が必要かつ重要となる
 (注; 例えば、乳酸菌であるStreptococcus thermophilusが含まれれいるプロバイオティクスのクリームは、アクネ菌への抗菌作用や抗炎症作用を示すセラミドやホスホリルコリンを産生し皮膚のバリア機能を高めてくれる)。

プロバイオティクスの経口使用は いわゆる「腸ー脳ー皮膚 相関」を変化させる ことで、にきびや酒さの状態に影響を及ぼす可能性がある。プロバイオティクスとその代謝産物は腸管のリンパ組織と相互作用し、体の全免疫系の70%に近い 程の免疫力を備えている。
このプロバイオティクス菌と腸管の免疫系の相互作用は、病原体、アレルゲン、共生細菌に対してどのように応答すべきかの適切な意思決定を免疫系に訓練させる上で重要である。

経口プロバイオティクスは、皮膚の炎症性サイトカインの放出を調節し、さらに動物モデルにおけるインスリンの感受性を改善するが、にきび患者では高炭水化物食との関連性が最近の調査で明らかにされている。

興味深いことに、にきび患者では便秘が多く見られる。便秘は腸内細菌叢の変化と関連しているが、乳酸菌やビフィズス菌などの健康的な細菌の低い糞便濃度、腸管の透過性の高さという所見を伴っている。
心理的ストレスは、細菌の異常増殖を促進し(注; small intestine bacterial overgrowth 「SIBO」と呼ばれ、にきびを持つケースでは通常の10倍にも細菌が増殖していることが示されている)、小腸での通過時間が停滞し、腸管のバリア機能が障害される
同様に、ストレスは、酒さにもリンクしている。2008年のイタリアの研究では、酒さの患者は小腸における細菌の異常増殖が高いレベルにあることが示された。
抗生物質であるrifaximinによって小腸の腸内細菌叢の異常増殖は正常化し、それに伴い酒さも改善し9ヶ月にわたり維持された。

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皮膚の表面に生きたままでプロバイオティクス菌が生存することができれば、その菌株は、患者の皮膚を保護することができる

→自分の菌以外は、一時的な生着はあるものの、基本的には生き続けることはありません。
それは腸内細菌と同じです。だからこそ、自身の善玉菌(美肌菌:表皮ブドウ球菌など)を増やすことが重要となります。
(株)バイオジェノミクスでは世界初の「美肌菌バンク」を開設し、自身の美肌菌を採取し、増殖させて本人の肌へ戻すプログラムを行なっています。
美肌菌の作用として、保湿成分の産生、有機酸の産生による皮膚表面の弱酸性を維持し、抗菌物質を産生して悪玉菌の増殖を抑え、皮膚免疫への関与や抗炎症作用が知られています。

プロバイオ ティクス菌が生き残るよりも、その菌に含まれている成分が必要かつ重要となる

→菌自体は先に述べたように一定期間以上は生存してくれません。
生死を問わず細菌自体の作用よりも、細菌が産生する物質がより重要なのです。
だからこそ、乳酸菌生産物質のような成分を外用する意味がでてきます。

実は乳酸菌生産物質には美肌菌を増殖させる作用があることがわかっていますので、黄色ブドウ球菌などの悪玉菌の増殖を妨げる効果なども期待されています。

ヤクルトからは、ビフィズス菌発酵乳(ガラクトオリゴ糖を含む)の4週間の継続「飲用」試験を39名の健常女性に行い、腸内環境の改善を介して角化に悪影響を及ぼし、フェノール類が減少し、角化が正常に行なわれるようになった結果、角層細胞の形態的な改善ならびに角層表面の水分量の減少を抑制した(乾燥が抑えられた)という報告もなされています。http://www.yakult.co.jp/institute/report/pdf/science_No17.pdf

このあたりはかなりホットな話題でもあります。ご興味ある方は下記の論文の概説も参照ください。

http://www.fumimoto-cl.jp/blog/pdf_journal_46.pdf

G a l l o R L , N a k a t s u j i T . J I n v e s t D e r m a t o l . 2 0 1 1 J u n 2 3 .

「常在細菌と皮膚の自然免疫防御システム」

乳酸菌生産物質2 へ続く

医療法人社団精華会
ミルディス皮フ科 村上 義之