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院長ブログ

美容治療入門7

2021年08月23日

具体的な治療の考え方(2)

①表面の凸凹を処理しましょう

先日亡くなられた宇津井健さんも晩年
「渡る世間は鬼ばかり」に出演していた頃の方が、
それ以前よりもかえって肌つやよく却って若く
見えたくらいです。

それ以前にあった顔面や首の多数のイボもきれいに
処理されています。
イボが悪いわけではなく、もちろんしわやしみと
同様にその人の貫禄や年輪のようなものと好意的にも
とれますが、イボの有無でどちらがよいかと問われれば
多くの人はない方を好みます。

しかも「脂漏性角化症」「アクロコルドン」などが所謂
「年寄りイボ」の代表ですが、これらは比較的簡単に
処理することが可能です。

しかも、その効果はその他の美容治療に比べるとより
確実であり、費用対効果に優れます。
「毛穴」を気にされる女性は非常に多いのですが、
現在行なわれているほとんどの施術において多くの医師が
その毛穴治療効果に不満を抱いています。

それは、それらの効果が不十分だと認識しているからです。

こうした症状が目立つようでしたら,是非この治療から
美容治療を開始しましょう。

ホクロについては、その人のアイデンティティーや特徴にも
関わることですので、自身で残すべきか除去を考えるのを
判断してください。

多発性の小さなイボの治療方法

・表面麻酔を外用してサランラップで30分浸透
・炭酸ガスレーザーで一個一個を蒸散・焼灼
・麻酔、施術合わせて約1時間
・痂皮が取れるまでに顔で1週間、首で2週間程度

*大きなイボや腫瘤は別途麻酔注射を行なってからの
施術になります。
場合によっては保険適応にもなります。

ホクロや脂腺増殖症などの治療はイボとは異なり、
少し深い位置まで蒸散させる必要があります。

その後の赤みなども強く長く持続します。
いずれもテープなどでの患部保護を要します。


顔の凸凹につながる、顔の代表的な「できもの」

この中には比較的簡単に対処できるものが含まれます。

それが⑤の「脂漏性角化症」と言われるもので、首の
多発性の小さなイボである「アクロコルドン」同様に
小さなものが多発しておられる方も少なくありませんが、
炭酸ガスレーザーなどを使用して傷跡を最小限にして
除去できる代表的な「できもの」です。

②表面の色ムラを少なくしましょう。

次に手をつけるのが大きな目立つシミの対処です。
老人性色素斑(境界がはきりした円形に近いシミ)で
濃い色調のしみが先ずはターゲットです。

それに対する治療法は先ずはQスイッチレーザーです。
とりわけ目立つシミを選んで処理します。
それら以外の多数の小さなシミ
(例えばソバカス様のシミが広い範囲にパラパラと存在)
に対してはIPL(ライムライトやオーロラなど)で全体を
少しずつ薄くしてゆく方法が好まれます。

範囲が広いこともあり、テープ保護が不要である
(ダウンタイムが少ない)ところが魅力なのだと思います。

ほとんどの方は複数のシミをお持ちです。
老人性色素斑に肝斑を合併しているなど非常に多く見られます。
こうした場合、肝斑が目立つ状態(濃さ)であれば先ずは
肝斑の治療を優先させましょう。

肝斑の治療としては内服、ハイドロキノンなどの美白剤外用、
ケミカルピーリング+イオン導入、レーザートーニングなど
が挙げられます。

平坦なホクロも色ムラの原因にはなります。
但し、ホクロの治療を行なうかどうかはあくまでもご本人の
判断によります。
隆起していても平坦であっても同じです。

治療を希望する方には炭酸ガスレーザーで治療を行いますが、
Qスイッチレーザーを併用することもあります。

目立つ濃いシミ(老人性色素斑)の治療方法:
Qスイッチレーザー

・表面麻酔せず、患部を冷却しQスイッチレーザー照射
・チクチクと輪ゴムではじかれるような痛み
・照射直後は赤みから次第に褐色~黒色調の薄い痂皮に
・患部をテープで保護(その上からメイク可能)
・痂皮が取れるまでに顔で7~10日、体は2週間程度
・1~2週間後に再来、アフターケアの美白剤外用へ


ソバカスや小さなシミが広範囲の治療法:IPL光治療

・表面麻酔は不要せず、全顔にジェルをのせ光照射
・皮膚の表面に大きな範囲でパチパチという痛み
(直後からメイク可能)
・直後は照射部の赤み程度、次第に黒く変化し、
数日~1週間程度で小さな痂皮の集合体が剥がれる。
※反応したシミは一時的に濃くなるため、初回は
化粧ができても隠しきれないことがあります。

初回施術日は少し日程に余裕を持たせてお選び下さい。
以後は初回ほど強い反応をすることはありません。
・反応したシミ以外の肌にも熱が入ることになり適度な
ハリを肌にもたらす。
・3~4週間の間隔で数回照射。
※2回続けて反応が無い場合その機器の限界です。
経過に応じて出力を上げては行きますが、上げすぎると
シミ周りの皮膚まで火傷を生じるリスクが高まります。

どうしても気になるシミが残っているときには、
その部分だけアキュチップやQスイッチレーザーを
照射で対処されることをお勧めします。
・施術と施術の間にはハイドロキノンなど美白剤を
普段のケアで行ないます。

上記の両者が混在するときの治療順序:
どちらを先に治療するか?

・多くは個人の好みです。
大好物の食べ物を真っ先に食べる方と
最後に楽しみを取っておく方、それぞれです。

・効率から考えると、全体をIPLで数回治療を行い、
残った気になるシミだけQスイッチレーザーを照射。

本人が一番気になるシミを先ず処理する。
これによって本人の治療モチベーション
(やる気)がアップしたりします。
これもよくあることです。
しかもQスイッチレーザーの反応はこちらの方
が優れます。

・時間が許せば、最初の1~2ヶ月を徹底的な
遮光とハイドロキノンなどの美白剤外用で肌を
落ち着けてからシミの各種光治療に入って行く方が
より得られる結果が良好になるとも言われています。
でも待てないのも人情です。

上記以外に肝斑が目立つときの治療、あるいは
途中で肝斑が目立ってきたときの治療

・これもよくある話です。
と言いましょうか、ほとんどの方に肝斑は基本的に
合併していると思っておいた方がよいのではないか
とすら私は感じています。

・先にも書きましたが、肝斑が目立つときは肝斑の
治療を優先させます。
・徹底的な遮光、強くこするなどの肌への刺激を
排除することが基本です。
・そのためにも適切な量の日焼け止めを使用し、
適宜塗り直しをしましょう。
・その次に、ビタミンCやトラネキサム酸など
の内服とハイドロキノンの外用になるでしょう。
・さらに追加で考えるのがケミカルピーリング
+イオン導入などを1ヶ月に1度で行なう、

さらには1~2週間に1回の頻度で来院する
ことが可能であればレーザートーニングを併用
するのが早期に色調を改善させるのに有用と
言われています。
痂皮などは作りませんので、当日からメイク可能。

・肝斑が薄くなった時を狙って、残りの目立つ
シミのレーザー・光治療(Qスイッチレーザーや
アキュチップ)でピンポイントでの治療をしたり、
全体を数回IPLで治療したりします。

・該当される方は当院の小冊子「肝斑のこと」を
参照ください。

平坦な黒いホクロの治療法:
炭酸ガスレーザー+(Qスイッチレーザー)

・局所麻酔を注射して炭酸ガスレーザーで
少し周囲を含めて蒸散させます。
・擦り傷状態になりますので、大きなモノでは
患部をテープで保護する必要があります。
・シミ治療よりも施術後の赤みが長く続き
ますし、深いホクロでは色素が残存していたり、
徐々に再燃してきたりすることがあります。
(むしろ、そうなることが前提でもあります)
・繰り返しますが、どのホクロを治療するか
などはあくまでもご本人の判断になるのが基本。

鼻や頬も毛細血管拡張症の治療法:
クールグライド接触照射
・血管が浮き出て目立つ場合も色ムラに含まれます。
皮膚の毛細血管拡張症も皮膚老化の徴候です。
・特に小鼻のワキ(鼻翼基部)などは誰しも目立つ
ように変化してゆく部位です。
個人差ですが、頬などにもそれが及ぶ方もおられます。

・血管1本1本が目で追えるくらいに血管が拡張
している場合はクールグライドでの血管治療が有用です。
複数回の治療が基本となります。
・小さな赤い点(老人性血管腫)にもクールグライド
での治療が有用です。
・照射時の痛みはありますが、照射時の冷却のみで
表面麻酔なども不要ですし、施術直後からメイク可能。
・1本1本の血管がはっきりしない、所謂「赤ら顔」の
治療は難しく、費用対効果の低い皮膚状態です。
ロングパルスNd-YAGレーザーの中空照射
(ジェネシス、スペクトラピーリング)やIPL
(ライムライト、オーロラ)での治療に限られますし、
その効果は限定的だと感じています。

③目立つシワやたるみの改善を目指しましょう

ベーシックなスキンケアとしては日焼け止め
(紫外線による真皮成分の変化を防止)と
トレチノイン(当院では美白剤のハイドロキノン
との合剤であるTHクリーム)
を日常的に使うことをお勧めします。
トレチノインが刺激作用で継続使用困難な場合は
レチノールでの継続を考えましょう。
次のステップとしてハイドラフェイシャルケアシス
(エレクトロ・ポレーション)などの機器による
各種美容成分の肌への導入でしょう。

顔や首のたるみの進行抑制を目的に行なう施術が、
「Tightening machine:引き締め機器」になります。

近赤外線(タイタン)や高周波(サーマクールや
リファーム)を用いて、表皮に影響を及ばさないで
真皮層に熱を生じさせて線維成分(コラーゲンなど)
に破壊やダメージを与え、即時的に熱収縮を生じさせ、
その後は創傷治癒機転によって新たに線維芽細胞
からコラーゲンなどが作られて組織として再構築さ
れてゆくことを期待しています。

一方で「ちりめんじわ」・小ジワに対して行なわれる
のがresurfacing(リサーフェイシング:皮膚表面に
目に見える、あるいは見えない傷やダメージを与えて
表皮と真皮の浅い層に熱作用を及ぼして組織の再構築
を図る施術)になります。しかしながら、こうした
主目的以外の施術によっても一定の効果が期待できます。

例えば太田母斑(青アザ)治療に対してQスイッチ
レーザーを繰り返すと患部の小ジワまで改善されることは
治療者の間ではよく知られている事実ですし、シミ治療
としてライムライトオーロラなどのIPL治療を継続する
ことによってもマイルドではあるものの肌のハリを実感
される方が多くおられます。
(近赤外線領域を主波長にしている機種ではさらに有用)

さらにはロングパルスNd:YAGレーザー(クールグライド
スペクトラ)を皮膚表面から少し浮かせて早いスピードで
連続照射することを長時間繰り返す手技によっても同様な
一定の効果が期待できます。

確実にダウンタイムを生じてしまいますが、炭酸ガス・
フラクショナルレーザーeCO2(横浜院ではEr:YAGレーザ)
では眼瞼周囲の「ちりめんじわ」や施術部位の軽度の
たるみを改善して引き締めるという点では有用であり、
さらには照射した肌全体の「肌を入れ替える」ような質感
の変化や均一性の向上が期待できます。

あくまでも皮膚真皮浅層~中層が治療ターゲットで
あることから、表面の変化(小ジワ改善)には優れる
ものの、「たるみ」治療としては効果不十分だと
思われます。

前額、眉間、目尻などを代表とする「表情ジワ」治療の
基本はボトックスでの治療になります。効果は明らかで、
費用対効果の優れる治療法だと思います。

継続すれば中年期以降での差は目を見張るモノがあります。
但し前額などでは年齢とともに限界も出てきます
(効かせすぎると、まぶたが重い)ので、ここでも
「ほどほどに(軽く効かせる)」が重要だと思います。

強い表情をすれば、シワが出来て当たり前、むしろシワが
無ければ不自然です。

軽い日常的に繰り返すくらいの表情ではシワ形成は抑制されて
いるが、激しい感情を表す時にはシワが出来てしまうくらいが
丁度よいのでしょうね。
1年に2~3回での継続がベストでしょう。

ヒアルロン酸などのフィラー(充填剤)も部分的に使用すると
非常に有用です。
頬、鼻唇溝(法令線)、マリオネットラインなどなど。

加齢に伴ってボリューム・ロスが生じているわけですから、
これらフィラーでボリュームを付加するというのは理屈にも
かなっています。

但しもちろん万能ではありませんので、その他の治療との
組み合わせになります。

例えば全体のケアをタイタンやペレヴェなどの
「Tightening machine:引き締め機器」で行い、頬や鼻唇溝
にフィラー注入を併用すると効果的です。機器単体での施術
に比べるとフィラーでの変化は大きく、満足感は高まります。

フィラーも種類や使用部位によって効果持続期間が異なります。
値段なども含めて施術医と相談の上で使用するフィラーを
決めましょう。

ボトックスやフィラー注入は非常に有用な手段ですが、針を
皮膚に刺すという行為を伴いますし、生体外物質を注入する
行為でもあります。
今一度ご自身で受容できる治療法かどうかをご確認ください。

④加齢に伴って目立ってくるその他に対する治療:おまけ

・上口唇の毛が目立つようになる。
上口唇の毛は女性といえども年齢を経るとターンオーバーが
延長することも関係してか多少若い方よりも長くかつ
濃く見える場合が少なくありません。
レーザー脱毛をしましょう。

・睫毛(まつげ)の貧毛化。
上記とは裏腹に睫毛は頭髪と同様に次第にまばらになります。
さらには、まぶたの垂れ(弛み)、目が窪んでゆくことなどが
相まって目が小さく見えるようになってきます。
「睫毛の美容液」であるグラッシュビスタをおすすめします。
睫毛が増毛増大することによって格段に目力が改善します。

・眉毛の長さを整えて、眉メイクを追加。
眉毛がまばらにはなってくるものの、1本1本はターンオーバー
延長に伴って長くなるのも老化のサインです。
長すぎる毛は先端をカットして長さを整えて、さらに
眉山まわりの産毛を処理眉から離れたムダ毛を処理
加齢に伴って眉の外側が垂れてくるため、それを改善する
ような形をメイクで目指します。
残念ながら男性の私にはこれ以上の知識がありません。

・口唇が薄くなる:加齢に伴って口唇の組織ボリュームが
減少するとともに、赤唇部が内旋して外から見える赤唇部分
が少なくなります。
ボリューム減に伴って赤唇部に縦ジワが目立つようにもなって
きます。
対処方法としてはヒアルロン酸注入です。
表面麻酔外用して冷却しながらの注入ですが、痛みを伴います。

また好みはありますが私は極端な「アヒル口」はお勧めしません。
元に戻る、あるいは少し「ふっくら」「縦ジワ減少」を目指す
のがよいと思っています。

参照・引用:美容医療機器の理論と実践(全日本病院出版会)

ミルディス皮フ科
理事長 村上 義之