J Am Acad Dermatol. VOLUME 74, ISSUE 5, P945-973.E33, MAY 01, 2016
https://www.jaad.org/article/S0190-9622(15)02614-6/fulltext
※イソトレチノインご相談希望の方はお電話で予約お願いします※
中等症のニキビ
第1選択の治療
・過酸化ベンゾイル+抗生剤外用(ex.デュアック)
レチノイド+過酸化ベンゾイル(ex.エピデュオ)
レチノイド+過酸化ベンゾイル+抗生剤外用
(ex.エピデュオ+ダラシン、ゼビアックスなど)
・抗生剤内服+レチノイド+過酸化ベンゾイル(ex.エピデュオ)
・抗生剤内服+レチノイド+過酸化ベンゾイル+抗生剤外用
(ex.エピデュオ+ダラシンやゼビアックスなど)
第2選択の治療
・複合外用療法の組み合わせ変更
・内服抗生剤の変更
・経口避妊薬(低容量ピル)や
スピロノラクトン内服の追加:女性のみ
・イソトレチノイン内服
重症のニキビ
第1選択の治療
・抗生剤内服+過酸化ベンゾイル+抗生剤外用
(ex.デュアック)
レチノイド+過酸化ベンゾイル(ex.エピデュオ)
レチノイド+過酸化ベンゾイル+抗生剤外用
(ex.エピデュオ+ダラシン、ゼビアックスなど)
・イソトレチノイン内服
第2選択の治療
・内服抗生剤の変更
・経口避妊薬(低容量ピル)や
スピロノラクトン内服の追加:女性のみ
・イソトレチノイン内服
まとめ
・複合外用療法で効果不十分であれば
外用の組み合わせを変更し、
それでもダメなら抗生剤内服を行う。
・それでもダメなら内服抗生剤を変更。
・抗生剤内服を長くは継続したくない
(耐性菌出現などのリスク)ので
女性であれば
ピル単独、ピル+スピロノラクトンなどの
ホルモン療法を考慮し、それでダメなら
イソトレチノイン内服。
男性であれば
ホルモン療法が適応外なので
イソトレチノイン療法を考慮。
日本の保険治療で抗生剤内服や
各種複合外用治療でコントロール不良の場合
・女性の場合はイソトレチノインの副作用
などの問題から、先ずはホルモン療法から入ります。
・軽症であれば低容量ピル単独ですが、
スピロノラクトンとの併用の方が効果的です。
・上述のように男性の場合はホルモン療法が
適応外のため、イソトレチノイン内服を選択する
ことになります。
では、ホルモン治療についてお話します。
低容量ピルならびにスピロノラクトンは、
ともに抗男性ホルモン(アンドロゲン)作用を
期待して使用するものです。
男性ホルモン(アンドロゲン)とは、
DHEA、アンドロステンジオン、テストステロンなど
がありますが、作用の強いテストステロンは
女性においては卵巣や副腎で産生されています。
テストステロンあるいはその代謝物である
DHTがアンドロゲン受容体に結合して、
毛包においては皮脂分泌が増加しますが、
ここを阻害するのがスピロノラクトンです。
一方、低容量ピルはLH(黄体ホルモン)を下げて
テストステロン産生を抑制することによって
皮脂分泌を抑制してニキビに効果を発揮します。
このように作用機序(阻害点)が
異なるからこそ、両者を併用した方が
効果的になります。
低容量ピルで効果が不十分だった女性に
おいては、スピロノラクトンを併用します。
それでも効果不十分であれば、
確実な避妊の下でのイソトレチノイン
内服療法を検討いたします。
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ホルモン治療がお勧めの女性
・通常の保険治療で効果が不十分であった方
・成人期に始まったか悪化した方
・軽度から中程度の多毛を伴う方
・顔面の皮脂分泌過剰を伴う方
・あごひげの部分に炎症性ニキビを有する方
※低用量ピル、スピロノラクトンによる
ホルモン治療について
未承認医薬品等(異なる目的での使用)
マーベロンは、医薬品医療機器等法において、
「避妊」の効能・効果で承認、スピロノラクトンは、
医薬品医療機器等法において、「高血圧症、浮腫など」の
効能・効果で承認されていますが、
当院で行うニキビ治療目的での使用についてはいずれも
国内で承認されていません。
入手経度等
国内の医薬品卸業者より国内承認薬を仕入れています。
医薬品副作用救済制度の適応外
いずれの薬剤も国内で承認での承認医薬品ではありますが、
適応外使用のため、副作用救済制度は適応されません。
ご承知下さい。
*医薬品副作用救済制度
●ニキビの低用量ピル治療について
険診療での治療を行い、それでも改善しない
中等症以上のニキビの治療に使用します。
とくに生理前に悪化する女性の大人ニキビには効果的です。
前述のようにスピロノラクトンと併用した方が
効果が高いため、効果不十分の際には
スピロノラクトンとの併用治療をお勧めします。
低用量ピル治療は最初の図の如く、
欧米のニキビの治療ガイドラインでは第二選択の治療
として推奨されていますが、
日本では、尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017において、
推奨度C2とされ、保険適応外であることなども考慮し、
推奨しないとされています。
ニキビ治療には未承認であり自費診療となります。
低用量ピルが使えない方
血栓症リスクのある方
・血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患のある人
・35 歳以上で 1 日 15 本以上喫煙する人
・心臓弁膜症のある人のうち肺高血圧症や心房細動のある人
・糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症のある人
・抗リン脂質抗体症候群のある人
・血栓ができやすい体質の人
・手術・出産などの長期間安静状態の人
・脂質代謝に異常のある人
・高血圧のある人
マーベロン、ファボワールに含まれる成分で過敏症のあった人
エストロゲン依存性悪性腫瘍(乳がん、子宮内膜がん)
子宮頸がんの人
診断の確定していない異常性器出血のある人(性器癌の検診が必要)
前兆がみられる片頭痛のある人(脳血管障害リスク)
肝臓に重篤な障害のある人(増悪するリスク)
肝臓に腫瘍のある人(増悪するリスク)
耳硬化症のある人(症状の増悪)
妊娠中に黄疸や妊娠ヘルペスがあった人(再燃のリスク)
妊婦または妊娠している可能性のある人
授乳中の人
現在、身長が伸びている人
ヴィキラックス配合錠(C型肝炎治療薬)を使用している人
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低用量ピルの使用に注意が必要な方
血栓症リスクのある方
-40 歳以上の人
-喫煙している人
-肥満の人
-血縁に血栓症になった人がいる人
-心臓弁膜症の人
-軽い高血圧のある人、妊娠中に高血圧になったことのある人
子宮筋腫の人
乳がんの人
血縁に乳がんになった人がいる人、乳房にしこりのある人
前兆のない片頭痛のある人
糖尿病のある人または耐糖能に異常のある人
ポルフィリン症の人
肝臓に障害のある人
心臓病や腎臓病のある人
てんかんのある人
テタニーのある人
副作用
健康な女性が長期間にわたり服用するという前提
で開発されており、極めて安全性が高い薬剤です。
血栓症リスクが無い人であれば安全に使用できます。
【血栓症】
次のような症状があらわれた場合にはただちに
使用を中止して救急医療機関を受診してください。
手足 | 足の突然の痛み・腫れ、脱力・まひ |
胸 | 突然の息切れ、押しつぶされるような痛み |
頭 | 激しい頭痛 |
口 | 舌のもつれ・しゃべりにくい |
目 | 突然の視力障害 |
次のような場合には、症状が軽くても使用を中止して
医療機関をただちに受診してください。
-血栓症が疑われる症状がある
(足の腫れ・痛み・しびれ・発赤・ほてり、嘔吐・吐き気、頭痛など)
-体が動かせない状態になった場合
-著しく血圧が上がった場合
-脱水の状態になった場合など
【血栓症の頻度について】
- ピル使用は、血栓症リスクが2倍になる。
- 正常な妊娠・出産でも、血栓症リスクが10倍以上になる。
- ピルに伴う血栓症は、血栓症リスクが高い人で注意が必要(使用しない)。
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お薬の飲み方
- 月経の第1日目から、毎日1日1錠を一定の時刻に28日間
- 緑色の錠剤を飲み終わった翌日から、月経が終わっていても
続いていても、引き続き白い錠剤を飲み始め、
同様の方法で、ニキビがよくなるまで、繰り返し飲みます。
飲み忘れた場合の対応
【白色の錠剤の飲み忘れが1日の場合】
気づいた時点で飲み忘れた1錠を直ちに飲み、
さらにその日の分も通常通りに飲んでください。
すなわち、その日は2錠飲むことになります。
【2日以上連続して白色の錠剤を飲み忘れた場合】
避妊目的も兼ねて飲まれる方は、飲み忘れた時点で、
飲むのを止めて、次の月経を待って
新しいシートから再び飲み始めてください。
なお、飲み忘れによって妊娠する可能性が
高くなるので、その周期は他の避妊法を
使用してください。
ただし、避妊目的を兼ねていない方は、
飲み忘れた錠剤はシートに残しておき、
続きから、通常通りに飲んでください。
通常分を飲み終えたら、残ったものを
後で飲まず、新しいシートから飲み始めてください。
【緑色の錠剤を飲み忘れた場合】
飲み忘れた分を服用せずに以降の錠剤を
通常通り飲んでください。
服用中に気をつけなければならないこと
- ふくらはぎの痛み・むくみ・突然の息切れ、
鋭い胸の痛み、激しい頭痛、目のかすみ、
身体を動かせなくなったとき、
顕著な血圧上昇等の症状が出現したら
使用を中止し、ただちに救急病院に受診してください。 - 服用中は禁煙してください。
- 服用後に不正性器出血が起こることがありますが、
継続しているとなくなります。
ただし、長期間にわたって不正性器出血が続く場合は、
医師に相談してください。 - 2周期連続して月経が来なかった場合は
妊娠している可能性がありますので、
直ちに産婦人科を受診してください。
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考えられる副作用
一般的な副作用
吐き気・嘔吐、乳房の張り、頭痛、
不正性器出血など
飲み始めに現れることが多く、
通常は飲み続けることで症状消失の
可能性が高いです。
重大な副作用
血栓症(ふくらはぎの痛み・むくみ、
手足のしびれ、鋭い胸痛、突然の息切れ、
押しつぶされるような胸の痛み、激しい頭痛、
めまい、失神、目のかすみ舌のもつれなど。
服用をすぐに中止し、
ただちに救急病院を受診してください。)
子宮頸癌(リスクが増加すると言われています。
念のため、定期的な検診をおすすめいたします。)
乳癌(リスク増加はないとされていますが、
ある調査では増加と報告されています。)
皮膚科的な副作用
肝斑、ニキビ、発疹など
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料金について
・低用量ピル(ファボワール)は自費診療となります。
・薬の処方に際して、必ず診察と検査が必要です。
・国内承認薬ではありますが、適応外使用のため、
日本の副作用救済制度の対象外となります。
自費初診料:3,300円(税込)
自費再診料:1,100円(税込)
ファボワール28
1シート(1ヶ月分):3,300円(税込)
血液検査:4,400円(税込)
●ニキビのスピロノラクトンによるホルモン治療について
- 「低用量ピル」単独治療が効果不十分だった方
- 「低用量ピル」単独治療よりも、
「スピロノラクトン+低用量ピル」
併用治療の方が強力な治療です。
*作用機序も異なりますし、後述する
スピロノラクトンによる生理不順や
無月経が起こり得るため、
低用量ピルとの併用で使用いたします。
- イソトレチノイン内服治療と迷われる方も
いるかも知れませんが、副作用の点から女性
においては「低用量ピル」単独治療や
「スピロノラクトン+低用量ピル」
併用治療からお勧めしています。
それでも効果不十分な方に
イソトレチノイン内服治療をご検討いただきます。
*男性はホルモン治療の適応がないため、
イソトレチノイン療法を選択頂きます。
スピロノラクトンについて
水分を体外に排出して血圧を下げる作用があり、
高血圧、心臓が原因の浮腫や心不全の治療に
用いられます。
体の水分を増やし、血圧を上げるアルドステロン
というホルモンの働きを抑え、
その結果として水分と塩分(Na)が
尿として体外へ排出されます。
他の利尿薬と異なり、
カリウムの排出が抑えられるのが特徴でもあります。
高カリウム血症になっていないか
定期的に採血が必要です。
本来の適応効能
・高血圧症(本態性、腎性等)
・心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、
肝性浮腫、特発性浮腫、
悪性腫瘍に伴う浮腫および腹水、栄養失調性浮腫
・原発性アルドステロン症の診断および症状の改善。
応用・適応外使用
低カリウム血症の予防
(強ミノなどグリチルリチン製剤との併用)。
ホルモンバランスの調整
(ニキビ、多毛症などに応用)。
スピロノラクトンが注意を要する方
・妊娠中、授乳中
・腎障害がある
・高カリウム血症
・アジソン病(副腎機能不全)
・免疫抑制剤タクロリムス
(商品名:プログラフ)、抗がん剤ミトタン
(商品名:オペプリム)、同類薬エプレレノン
(商品名:セララ)を投与中の方は
使用が禁止されています。
・他の降圧薬と併用するときは、
血圧の下がりすぎに注意が必要です。
またACE阻害薬およびA2拮抗薬、あるいはアリスキレン
(ラジレス)と併用するときは、
高カリウム血症にも注意が必要です。
・月経困難症治療薬のドロスピレノン
(ヤーズ)と飲み合わせると、高カリウム血症を
起こしやすいとされています。
・スピロノラクトンにアレルギーがある
・心疾患や、脳動脈硬化症がある
・減塩治療中
・肝障害がある
スピロノラクトンの副作用について
下の副作用のいずれかが見られた場合は、
医師に伝えてください。
これらの副作用は一般的に軽度で用量を
減らすかまたは使用を中止することにより、
ほとんどの症状は数日から数週間で完全に消失します。
血液中のカリウム分が増えすぎてしまうことがあります。
ひどくなると、精神的な変調を生じたり、
不整脈を起こすおそれがあります。
予防のために、定期的に血液検査を
受けるようにしましょう。
そのほか、性ホルモン関係の副作用が
ときどきみられます。
乳房痛や生理不順を起こしたりします。
生理不順がおこることがあるため、
低用量ピルを併用します。
※イソトレチノインご相談希望の方はお電話で予約お願いします※
【重い副作用】 *頻度は稀です。
・電解質異常(高カリウム血症):
だるい、息切れ、脈の乱れ、手足のしびれ、
不安感、取り乱す、けいれん。
・急性腎不全:尿が少ない・出ない、むくみ、
尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、
のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
・重症薬疹:発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、
皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、
唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、
発熱、全身けん怠感。
※イソトレチノインご相談希望の方はお電話で予約お願いします※
【その他】
・女性型乳房、乳房痛・腫れ、生理不順、
無月経、性欲減退、多毛、閉経後に性器出血、
声が低音化
・だるい、めまい、頭痛
・吐き気、食欲不振
・発疹、じん麻疹、皮膚そう痒
スピロノラクトンの服用方法
- お薬を開始するときの症状により、
1日量100mg(朝1錠・夕1錠)で開始します。 - 新しくニキビができなくなって
4週間程度したら、お薬を減量していきます。
飲み始めてから、減量開始できるまでの
期間は約2~3ヶ月です。
1ヶ月経過してもよくならないときは、
150mg(朝2錠・夕1錠)、最大200mg
(朝2錠・夕1錠)まで増量します。
治療期間の目安は4~5ヶ月となります。
- 新しくニキビができなくなって4週間程度したら、
1日量を200mg(朝2錠・夕2錠)→150mg(朝2錠・夕1錠)→
100mg(朝1錠・夕1錠)→50mg(朝1錠のみ)と、
1ヶ月ごとに減量していきます。
- 再発時は治療を再開します。
比較的安全性が高い治療方法であるため、
少量維持治療を継続することもあります。
治療期間中は定期的な血液検査を行います。
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料金について
・スピロノラクトンは自費診療となります。
・薬の処方に際して、必ず診察と検査が必要です。
・服用量によって値段がかわります。
・国内承認薬ではありますが、
適応外使用のため、日本の副作用救済制度
の対象外となります。
スピロノラクトン50mg/錠 1錠:110円(税込み)
1日 50mg(28日分):3,080円(税込)
1日 100mg(28日分):6,160円(税込)
1日 150mg(28日分):9,240円(税込)
1日 200mg(28日分):12,320円(税込)
自費初診料:3,300円(税込み)
自費再診料:1,100円(税込み)
血液検査:4,400円(税込み)
治療の流れ
初診:洗顔しての診察、写真撮影、採血
再診:1ヶ月毎
採血:初診時、内服2~3ヶ月後、終了時。
必要時は適宜追加させていただきます。
「尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」より抜粋
CQ38:痤瘡に経口避妊薬(いわゆるピル)
あるいは低用量エストロゲン・プロゲスチン 配合薬は有効か?
推奨度 C2
推奨文 他の治療で改善が不十分で,
結果的に避妊 につながることを容認する成人女性の
痤瘡に,経口避 日皮会誌:127(6),1261-1302,2017(平成 29)
● 1293 尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017 妊薬
(いわゆるピル)あるいは低用量エストロゲン・
プロゲスチン配合薬を使用してもよいが,推奨はしない.
使用する場合には,痤瘡治療に対して本邦では
未承認の治療法であること,
保険適用外の治療法であること,
血栓形成や不正性器出血などの
副作用があることに関する十分な
インフォームドコンセントを要する.
解説 経口避妊薬(いわゆるピル)
あるいは低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は,
海外では多数の RCT が行われており,
痤瘡の炎症性皮疹および面皰数,全 般重症度,
患者自己評価の全てを改善する高いエビデ ンスを有している217).
しかし,他の治療との比較は十 分には行われていない217).
また,合併症として脳梗塞, 静脈血栓塞栓症の危険率の上昇,
喫煙者のおける心筋梗塞の危険率の上昇,
長期服用による子宮頸癌の増加 の可能性が指摘されている.
一方で,乳癌は増加せず, 卵巣癌,子宮体癌は減少するとされている.
高血圧,喫煙,肥満,高年齢(40 歳以上)は
慎重投与や投与禁 忌の対象となっている218).
本邦では未承認の治療であり,症例報告や総説はあるものの219)220),
大規模 RCTの報告はなく,使用経験が十分とは言えない.
以上より,他の治療で改善が不十分で,
使用する結果として避妊にもつながることを
容認できる女性の痤瘡の治療の場合には,
日本産科婦人科学会編の「OC・ LEP ガイドライン 2015 年度版」221)
に基づいて合併症や 生活習慣などに関する情報を得た上で,
十分なインフォームドコンセントのもとで
経口避妊薬(いわゆるピル)あるいは
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を
使用してもよいが,推奨はしない.
CQ39:痤瘡にスピロノラクトンは有効か?
推奨度 C2
推奨文 炎症性皮疹あるいは面皰のいずれを
主体とする痤瘡にも,スピロノラクトン
内服を推奨しない.
解説 海外では,小規模の RCT が存在し,
エビデンスレ ベルはグレード B223)とするレビューもあるが,
2012 年の Cochrane のシステマティックレビュー224)では,
痤瘡に有効とするエビデンスは不十分としている.
男性では女性化乳房が見られることがあり,
主として女性例での投与を考慮する.
本邦では,139 例に対して使用した報告225)があるものの,
この試験では月経不順などの出現が多数見られており,
男性の全例が脱落し,女性でも最終的には約半数が脱落している.
スピロノラクトンは浮腫や女性化乳房,
月経不順などの副作用 があることに加えて,
本邦では保険適用外であり,
他の治療との比較がない.
以上より,本邦においては
炎症性皮疹あるいは面皰のいずれを
主体とする痤瘡にも,
スピロノラクトン内服を推奨しない.
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(参照)
ニキビ治療マニュアル- ホルモン療法:吉村浩太郎
おくすり110番
ミルディス皮フ科
村上 義之